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ホラーテラー作品群保管庫
157
:
2なつのさんシリーズ「ノック 下」2
:2014/06/16(月) 21:57:04 ID:mn6OmNt.0
玄関のある部屋まで戻る。Sはもう靴を履いて外へ出ていた。
これから、あの外した玄関の戸を元に戻さなくてはいけない。立つ鳥跡を濁さずってわけだ。
その時、ズボンのポケットの中で携帯が振動した。電話だ。誰だろうと思い取り出してみると、それはKからだった。
少し早めに恥ずかしい土産話を披露することになるのだろうか。
一人で苦笑いしながら、僕は外に居るSに「Kから電話」と伝えて、玄関の段差に座り、通話ボタンを押した。
『よおー。俺だ。昼に電話くれてたけどよ。何か用かー?』
どことなく陽気なKの声。
「え?K、まさか今起きたん?」
『わりーかよ』
確か時刻はもう五時に近いはずだ。
「遅いよ。何時だと思ってんだよ、もう夕方になるよ?」
『うっせーなー。何だよ。ソッチの要件は何だったんだよ』
う、と言葉に詰まってしまう。Sの方を見ると、そっぽを向いて欠伸をしていた。
「……ノック」
『はぁ?』
「ノックだよノック。そのノックのせいで、精神的にもノックアウトしちゃってさ。もうまいっちゃってさ」
やけくそになって、僕は床を拳で軽くコンコンコンコンと叩きながら「あはは」と笑う。上出来な自虐ギャグだ。
自分でも可笑しかった。可笑しくて笑う。床を叩いて笑って、そして僕は笑うのを止めた。
電話の向こうでKが何か言っている。でも、何を言っているのかまるで聞こえない。
床を叩く。
コンコン。
もう一度、違う場所を。
コンコン。
立ち上がって、携帯を切った。
外と室内を繋ぐ四畳半程の部屋には、カーペットが敷かれている。
最初に入って来た時も見た、渦まき模様の丸いカーペット。僕はその端を持ち、少しめくってみた。
カーペットの下は板の間で、そこには半畳程の大きさの正方形の扉があった。
心臓が音を立てて鳴っている。頭の中を様々な思考が飛び交っているのに、何も考えることが出来ない。
それは、取っ手の金具を引き出して上に持ち上げるタイプの扉だった。この先に何があるのか、何の扉かもわからない。
手を伸ばして、扉を叩く。
コンコン。
それは僕が今日、今まで聞いてきたノックの音と全く同じ音だった。
どうしてだろう。どうして僕は、『この音』 を聞くことが出来たのだろう。
先程Sが言ったことが正しければ、僕は僕が聞いたことが無い『この音』 を創り出せたはずがないのだ。
……コンコン。
僕は叩いていない。
それは今まで聞いた中で一番弱々しかったにも関わらず、一番はっきりと聞こえたノックの音だった。
決して脳内で創り出した音なんかじゃない。僕の鼓膜は確かにその微弱な振動を捉えていた。
扉についている金具を引き出し、僕は扉を持ち上げる。
かなり重かったけれど、ゴリゴリと音を立てて、扉の下からゆっくりと、まるで井戸のような黒いうろが姿を見せた。
据えた匂いと、ひやりとした空気が、穴から立ち上る。背筋がぞくりとして、全身に鳥肌が立った。
扉を落としそうだったので、裏側にあったつっかえ棒で固定する。
「……何やってんだ?」
いつの間にかSが、玄関からまた家の中に入って来ていた。
僕は返事もしないで、扉の奥の穴を見つめていた。
「そいつは……、たぶん、芋つぼだろうな」
「芋つぼ……?」
「その名の通りだよ。芋を保存しとくために、地下に掘る天然の土蔵だ。古い民家なんかにはたまにある。
……というか、お前これどうやって見つけたんだ?」
Sの話を聞くでもなく耳にしながら、僕は穴の奥から目が離せないでいた。
「……Sさ、車の中に、懐中電灯ある?」
少しの沈黙の後、Sは「あるぞ」と言った。
「それさ、取って来てくれない?」
Sは何も言わず黙って車へと向かった。
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