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ホラーテラー作品群保管庫
152
:
なつのさんシリーズ「ノック 中」1
:2014/06/16(月) 21:51:55 ID:mn6OmNt.0
走行中の車の窓から外の景色を見やる。前方から後方へ。車に近いものほど早く、遠いものほどゆっくりと。
約半日前にも通った道なのだけれど、状況は違う。
あの時は陽が昇る前だったので辺りは暗く、車酔いのため後部座席で死体のように寝転がっていたKも今はいない。
運転席の方から欠伸が聞こえて、僕は窓の外から視線をそちらに移す。
ハンドルを握るSは、先程から非常に眠たそうだ。居眠り運転で事故されても困るので、何か話しかけることにする。
「あんさあ、Kが昨日話してくれたこと。覚えてる?」
「……誘拐事件の話か?ああ、大体はな」
数年前。僕らが高校生の時に起こった連続児童誘拐事件。僕は覚えていなかったけれど、そこそこ世間を賑わしたらしい。
真夜中。その事件現場である古民家の庭先で、Kは僕とSを前に、
誘拐事件発生に至る経緯から、警察の捜査状況、どこで仕入れたんだというような情報まで熱く語ってくれた。
「冗談半分に聞いてくれればいいけど。
もしかしてさ。昨日、あんな話をKがしたから、僕の家にやって来たんじゃないか、って思うんよね」
「何が」
「さっきも言った、ノックの主」
Sが欠伸をする。眠たいのか、馬鹿にされているのか。
「いや、でも、そんなことのためにわざわざ悪いね。二度も。遠いのにさ」
「ああ、全くだな」
Sは心底面倒くさそうに言った。だったらあんなメール寄こさなきゃいいのに、と思う。
ちなみに、ガソリン代として要求されたのは4480円だった。
十円単位で要求してくるとは、ちゃんと残量をはかって計算したのだろう。キッチリしてるというか、何というか。
「そういや聞きそびれてたな。お前、あの空き家に行ってどうするつもりなんだ?」
「んー、まだ決めてないな」
「……何だそりゃ」と前を向いたままSが呟く。
実際に決めてないのだから仕方が無い。
「もしかしたら、家の中に入ることになるかもね」
前夜の段階では、事件のあった古民家を外から眺めるだけだった。
現在、誰が管理しているのかは分からないが、
窓にカーテンが掛かっていて中は見えなかったけれど、おそらく、家具はそのままにしているのだろう。
ここの住人はあくまで行方不明扱いで、いつか戻って来るかも知れないのだ。
「住居不法侵入だな」
「分かってるよ。でもさ、それってさ。向こうの方からウチに来いって、『呼ばれて』 それで入ったとしても、罪になるんかな」
「……お前がどういう場合を想定してるかは無視してだ。今回の場合では、なる」
「あーそっかぁ」
「大体どうやって入るつもりだ。玄関にはカギが掛かってるだろ」
確かに。当然の話だけれど、昨日確認した限りでは、玄関のドアは鍵なしでは開かないようになっていた。
侵入できそうな窓もない。一ヶ所だけ、内側から窓が塗り固められている部屋もあった。
「ノックすれば開けてくれるんじゃない?」
僕は冗談のつもりで言ったのだけれど、
Sは今度は、確実に僕のことを馬鹿にしているのだと分かるような欠伸をして、こう言った。
「……中に人が居りゃあな」
それから数時間と数十分車で走って、僕とSの二人を乗せた車は、目的の古民家がある街まで辿り着いた。
時刻は四時半を過ぎたところだった。
昨日と同じ場所、少し離れた場所にある住宅街の一角に車を停める。
「着いたぞ。ここからは歩いて行けよ」とSが言う。
そうして彼はシートベルトを外すと、後ろにシートを倒して目を閉じた。
どうやら、これ以上付き合う気はなく、僕が戻って来るまでにひと眠りするつもりなのだろう。
しばらくしてSが目を開けた。
「……何だよ。早くいけよ。場所は分かってんだろ?」
怪訝そうに言うSを、「ちょっと待って、静かに」と制す。
何か聞こえた気がした。
……コンコン。
ノックの音。
早く車から出ろと言っているのだろうか。
「この音、聞こえる?」
僕が尋ねると、Sは「……いや」と首を横に振った。
「あーそっか……、これ、今日以降もずっと続くようだったら、やっぱ病院かなぁ」
「おい……」と何か言おうとしたSを置いて車を出る。
少し歩くと後ろでドアの閉まる音がして、振り返るとSがのろのろと大儀そうに車を降りていた。
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