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ホラーテラー作品群保管庫

147なつのさんシリーズ「遺影」2:2014/06/14(土) 20:51:25 ID:Hpd3syqU0
「じゃあいくよ。……せーの」
声に従い遺影を見上げる。
「ほら、あたしのほう見てる。○○のことも見てるでしょ」
即答できなかった。
「……ううん」
見上げたまま僕は首を横に振る。
「ひいおじいちゃん、ミキ姉ちゃんのほう見てるよ」
怖がらせてやろうだとか、そういう気持ちは微塵も無かった。見えたままを言っただけだ。
写真の中のひいおじいちゃんの黒目の位置が先ほどとは違っている。明らかに僕でなくミキちゃんの方を見ていた。
「僕のことは見てないよ。ミキ姉ちゃんのほう見てる」
もう一度言った。
空白の時間が数秒あった。
そして突然、ミキちゃんが大声で泣き出した。
あまりに唐突だったので、僕は大いに驚いて慌てた。
抱いていた人形を放り出し、どうにかして泣きやまそうとしたけれど、無駄だった。
泣き声を聞き付けた大人たちがゾロゾロと部屋に入って来た。
ミキちゃんが「○○が怖いこと言った〜」と泣く。
唖然としていると、両親にミキちゃんを泣かした犯人としてひどく怒られた。
あまりの理不尽さに僕も泣いた。
「ひいおじいちゃんが、僕じゃなくてミキちゃんを見ただけだ」といくら説明しても、両親は信じてくれなかった。
他の大人たちもそうだった。

ミキちゃんはそれから僕と話もしてくれなくなった。
一応後日仲直りはしたけれど、その時は僕は大人たちに問答無用で嘘つきの烙印を押され、
何だか無性に悲しかった。
けれども、その中でただ一人、眠っていて騒ぎに乗り遅れた曽祖母だけは、
夕食の後、落ち込んでいた僕をきにかけてくれて、僕の話をうんうんと頷きながら聞いてくれた。
「そおかあそうかあ。そらあ、貧乏くじを引いてしもうたのう」
僕の頭を優しく撫でながら、ひいおばあちゃんは静かにこう言った。
「この家には男が多いけんのう……。子供も親戚も男ばあよ。あの人は、娘が欲しい欲しい言うとった。
 ……きっと男の子のおまんよりも、女の子のミキの方が可愛い思うたんやろうねぇ……」
理不尽だ。
僕はまた泣いた。

終わり


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