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ホラーテラー作品群保管庫
14
:
リゾートバイト7
:2014/06/03(火) 14:31:24 ID:j2Iwz4NM0
部屋に戻ってしばらくすると、AとBが戻ってきた。
A「おい、大丈夫か?」
B「なにがあったんだ?あそこになにかあったのか?」
答えられなかった。というか、耳にあの音たちが残っていて、思い出すのが怖かった。
するとAが慎重な面持ちで、こう聞いてきた。
A「お前、上で何食ってたんだ?」
質問の意味がわからず聞き返した。
するとAはとんでもないことを言い出した。
A「お前さ、上についてすぐしゃがみこんだろ?
俺とBで何してんだろって目を凝らしてたんだけど、なにかを必死に食ってたぞ。というか、口に詰め込んでた」
B「うん・・。しかもさ、それ・・」
AとBは揃って俺の胸元を見つめる。
なにかと思って自分の胸元を見ると、大量の汚物がくっついていた。
そこから、食物の腐ったような匂いがぷんぷんして、俺は一目散にトイレに駆け込み、胃袋の中身を全部吐き出した。
なにが起きているのかわからなかった。
俺は上に行ってからの記憶はあるし、あの恐怖の体験も鮮明に覚えている。
ただの一度もしゃがみこんでいないし、ましてやあの腐った残飯を口に入れるはずがない。
それなのに、確かに俺の服には腐った残飯がこびりついていて、よく見れば手にもソレを掴んだ形跡があった。
気が狂いそうになった。
俺を心配して見に来たAとB。
A「何があったのか話してくれないか?ちょっとお前尋常じゃない」
俺は恐怖に負けそうになりながらも、一人で抱え込むよりはいくらかましだと思い、
さっき自分が階段の突き当たりで体験したことをひとつひとつ話した。
AとBは、何度も頷きながら真剣に話を聞いていた。
二人が見た俺の姿と、俺自身が体験した話が完全に食い違っていても、最後までちゃんと聞いてくれたんだ。
それだけで安心感に包まれて泣きそうになった。
少しホッとしていると、足がヒリヒリすることに気づいた。
なんだ?と思って見てみると、細かい切り傷が足の裏や膝に大量にあった。
不思議に思って目を凝らすと、なにやら細かいプラスチックの破片ようなものが所々に付着していることに気づいた。
赤いものと、ちょっと黒みのかかった白いものがあった。
俺がマジマジと見ていると、
Bは「何それ?」と言ってその破片を手にとって眺めた。
途端、「ひっ」と言ってそれを床に投げ出した。
その動作につられてAと俺も体がビクってなる。
A「なんなんだよ?」
B「それ、よく見てみろよ」
A「なんだよ?言えよ恐いから!」
B「つ、爪じゃないか?」
瞬間、三人共完全に固まった。
AB俺「・・・」
俺はそのとき、ものすごい恐怖のそばで、何故か冷静にさっきまでの音を思い返していた。
ああ、あれ爪で引っかいてた音なんだ・・・
どうしてそう思ったかわからない。
だけど、思い返してみれば繋がらないこともないんだ。
階段を上るときに鳴っていた「パキパキ」っていう音も、何かを踏みつけていた感触も、
床に大量に散らばった爪のせいだったんじゃないか?って。
そしてその爪は、壁の向こうから必死に引っかいている何かのものなんじゃないか?って。
きっと、膝をついて残飯を食ったとき、恐怖のせいで階段を無茶に駆け下りたとき、
床に散らばる爪の破片のせいでケガをしたんだろう。
でも、そんなことはもうどうでもいい。
確かなことは、ここにはもういられないってことだった。
俺はAとBに言った。
俺「このまま働けるはずがない」
A「わかってる」
B「俺もそう思ってた」
俺「明日、女将さんに言おう」
A「言っていくのか?」
俺「仕方ないよ。世話になったのは事実だし、謝らなきゃいけないことだ」
B「でも、今回のことで女将さん怪しさナンバーワンだよ?
もしあそこに行ったって言ったら、どんな顔するのか俺見たくない」
俺「バカ。言うはずないだろ。普通にやめるんだよ」
A「うん、そっちのほうがいいな」
そんなこんなで、俺たちはその晩のうちに荷物をまとめ、
男なのにむさくるしくて申し訳ないが、あまりの恐怖のため、布団を2枚くっつけてそこに3人で無理やり寝た。
めざしのように寄り添って寝た。
誰一人、寝息を立てるやつはいなかったけど。
そうして明日を迎えることになるんだ。
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