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ホラーテラー作品群保管庫
133
:
なつのさんシリーズ「UFOと女の子 夏」3
:2014/06/14(土) 20:37:35 ID:Hpd3syqU0
それからというもの。僕はよくデパート屋上のUFOの中で宇宙人と遭遇するようになった。
学校が終わってからの時間や休みの日。僕が行けばほぼ必ず彼女は居た。
大抵彼女が先にUFOの中に居て、僕が後からというのが多かったけれど、僕が先に着いて待つこともあった。
彼女と会うと僕は必ず質問攻めに遭った。生い立ちのこと、両親のこと、学校のこと、友達のこと。
彼女の問いに、僕はいちいち馬鹿正直に答えた。
当時の僕は、学校はつまらなかったし友達はいなかったし、それでいて親に対しては『いい子』 を演じていた。
けれども、彼女には何も隠さなくても良かった。
デパートの屋上の小さなUFOの中が僕らの唯一の接点だったから。
どこかふわふわとしていて、掴みどころの無い子だったけれど、彼女と話している時間は楽しかった。
僕らは色々話して、沢山笑った。
いつしか、僕はデパートに行って彼女と話すのが楽しみになっていた。
僕は何の用事のない日でも、気が向けばデパートに行くようになっていた。
「それじゃあ、君も、宇宙人なの?」と彼女に訊かれたことがある。
僕にあまり友達が居ないことを白状させられた時のことだ。
「違うよ。僕は地球人」と返すと、「ちきゅうじん」と僕の真似をするように言って、くすくすと笑っていた。
ぐらぐら揺れるUFOの船内で隣り合わせに座り、二人でラムネなんかを食べながら。
僕から彼女に質問することはなかった。それが無くても、僕たちの間に話題はたくさんあった。
それに、自分のことについてはほとんど話さなかった彼女に、子供なりに遠慮していたのかもしれない。
たまに自分から口を開いたと思ったら、
「私のお母さんが宇宙人で。だから、私も宇宙人なの」などと彼女は妙なことを言って、一人で笑うのだった。
けれども、僕はそれが嘘だとは思わなかった。
彼女は自分のことを「宇宙人だ」としか言わなかった。
僕は女の子が実は本当に宇宙人で、それ以上の秘密を知られたら、自らの星に帰ってしまうんじゃないかと、
割と本気で思っていたのかもしれない。
でも、何度も何度も会って話すうちに、僕はどうしても、あの子のことをもっと知りたいと思う様になった。
出会ってからもう一ヶ月程がたっていたけれど、僕はまだ彼女の名前も教えてもらっていなかった。
だからその日、いつものように迎えが来てUFOから出て行こうとする女の子に向かって、僕は思い切って訊いてみた。
「ねえ、名前を教えてよ。『宇宙人』 じゃなくて、君の本当の名前」
それを訪ねるのは二度目だったのに、一度目よりも緊張した。
彼女も少し驚いたような顔をした。
すぐにいつものあの笑顔に戻ったけれど、その顔はどこかしら困った様にも、はにかんでいる様にも見えた。
「……分かった」
一呼吸置いて、
「 。」
少し俯き、呟く様に、彼女はその名前を口にした。
そうして、いそいそとUFOから出て行ってしまった。
しばらくして、僕は自分耳やら頬やらが火照っていることに気付いた。
初めて彼女の名前を聞き出せたのだし、彼女が答えてくれたこともう嬉しかった。
次会ったらどんなことを訊こうかと、その時からもう色々と質問を考えはじめていた。
けれどもその日以降、僕が彼女に何か尋ねることはなかった。
次の日、学校から帰った僕は、何の唐突も無く原因不明の高い熱を出してしまい、しばらくデパートへは行けなかった。
寝込んでいる間、何の根拠もなく、彼女があのUFOの中で僕のことを待っている様な気がして、
何だか申し訳ない気持ちになったりした。
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