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ホラーテラー作品群保管庫
129
:
なつのさんシリーズ「言伝」4
:2014/06/14(土) 20:34:23 ID:Hpd3syqU0
当然だけれど、帰り道の途中に事故のあった現場を通り過ぎる。思わず注視してしまう。
事故があった痕跡は、もう路面のタイヤ痕だけだった。
「被害者は……、首をやっちまってたらしい」
後部座席からKの声がした。
「頸椎だっけ?が折れるか断裂かしてて、だから痛みも感じず死んだはずだって。言われたわ。奥さんに」
まるで独り言のように、ぽつりぽつりとKは言葉を紡ぐ。
「それに、俺らが見つけたのは、意識も呼吸も脈も無くなってからだった。
だったら最後の言葉なんて残せるはずもないよな。
泣きながら言われたよ。『お心遣いは有難いですが、馬鹿にしないでください……』 だとさ。
……まあ、当然だけどな。警察にも言ってないことだし」
最後の言葉。僕は思い出す。あの時、数字と共にKが呟いた言葉があった。
『みさき、ゆか』
Kはそれを伝えに来たのだ。
けれど、それは生きている人間が発した言葉ではなかった。普通の人には決して聞くことのできない、死人の言葉。
「理解されないってのは分かってるんだがなあ……。覚悟もしてた。
でも、こうなんだよなあ。壁があってさ。その向こう側に何があるかなんて、見える奴にしか分からねえんだ」
そうしてKは、「やっぱそうだよなー……」と呟いた。
三人とも口をつぐみ、しんとする車内。
急に亡くなったばかりだし、今は時期が悪かったんだ。Kは悪くない。当然のことをしただけだ。
言うべき言葉は山ほどあったのに、その全てが口の中で空回り、外に出ることなく萎んでいった。
けれども何か言わなければと思い、僕は無理やり口を開く。
「……ラーメン」
意識していたわけでは無かった。ただ、出てきた言葉がそれだった。
どうしてラーメン。自分でも分からなかった。見ると二人が何事かという表情をしていた。
「ラーメンだ……。そうだ、ラーメンを食べに行こう!
お腹が減ったしさ、時間も丁度いいしさ、前には行けなかったわけだしさ」
ヤケになって喋る。
けれども、今がお昼時なのも事実だし、お腹が減っているのも本当だ。そして何よりラーメンはKの好物だ。
Sが小さく吹きだす様に笑った。
「そうだな……。どっか寄ってくか」
賛同してくれたことに僕はホッとする。
その途端、車の中の温度が少し上がった様な気がした。
「あ、でもさ。実は俺、今日は金ねぇんだけど……」とKが言う。
またかと僕がつっこむ前に、Sが前を向いたまま、ひらひらと片手を振った。
「いい。おごってやるよ」
その親切な言葉にKは驚いて固まっていた。僕も吃驚してSを凝視する。
こいつは本当にSだろうか。そんな疑問まで浮かぶ。
「マジで……?」
「香典で使って金がねえんだろ。だったら、おごってやるよ」
Sの言葉に僕は思い出す。確かに会場に行く前、Kは封筒を手に持っていた。
「……うおおマジかよ!言ったなS。だったら俺メッチャ食うぞ」
「別にいい。でももし車内で吐いてみろ。窓から放り出して轢き殺すぞ」
「上等だ。化けて出てやるよ」
「あ、S、じゃあ僕もおごって」
「うるさいお前ら」
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