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ホラーテラー作品群保管庫
126
:
なつのさんシリーズ「言伝」1
:2014/06/14(土) 20:32:48 ID:Hpd3syqU0
大学時代の冬のある日のことだった。
その日一日の講義が終わってから、僕は友人のSとKと三人で心霊スポット巡りに繰り出していた。
言いだしっぺはK、車を出すのはS、僕はおまけ。いつものメンバー、いつものシチュエーションだった。
目的地は、僕らの住む町から幾分遠い場所にある、今は入居者のいない古い集合住宅。
噂だと、そこには複数の首のない幽霊が出るらしいのだけれど。
結論から言うと、今回はハズレだった。
あたりが暗くなってからようやく目的の廃マンションにたどり着いた僕らを迎えてくれたのは、
色とりどりの落書きと、階段の踊り場で季節外れの花火をするマナーの悪い先客だった。
久々の大ハズレだ。
「ああいう奴らってのは決まって、怖い思いしたり祟りに遭ってから、
『後悔してる。あんなとこ行くんじゃなかった』 とか言うんだ。
くっそ、馬鹿じゃねーのか。呪われねーかな、あいつら。それか花火で火傷しろ、ヤケド」
帰りの車の中、いつもなら車酔いでダウンしているはずのKが、後部座席でぶつぶつ愚痴をこぼしている。
花火をしていた若者たちとは接触自体はなかったのだけれど、Kは彼らの行為に相当おかんむりのようだ。
「覚悟がねー奴は後で後悔すんだよ。『やっぱり止めとけば良かった』 とか俺だったら死んでも言わねーし。
逆に、『やっぱそうだよな』 って言うな、うん」
「知らねーよ……」
運転しているSが若干うんざりした様に呟いた。
Kは廃マンションを離れてからずっとこんな感じだ。
車は郊外、左右を田畑に挟まれた道を走っていた。
暖房が暑くてウインドウを少しだけ下げる。僅かに開いた隙間から入り込んでくる冷たい空気が気持ちいい。
けれど、やりすぎると車内が冷える。僕はすぐにウインドウを閉めた。
確かにKの言うことも分からなくもない。
僕だって心霊スポットと呼ばれる場所に行くときには、『何が起こっても不思議じゃない』 という意識でもって行く。
実際、過去にたくさん怖い目にも遭ったし、死ぬかもしれないと思ったことだって一度や二度ある。
それでも、今日だってKが「首なしマンション行こうぜ」と言うと、ほいほい誘いに乗るのだから、
『何されたって文句は言わない』 くらいの覚悟は、僕自身持っているつもりなのだろう。
「なーなー、俺腹減ったんだけどよ。なんか帰りにラーメンでも食べて帰ろうぜー。俺今日は金ねえけど」
Sが「餓死しろ」と冷たく言い放つ。
僕もKに何か言おうと後ろを振り向いたその時だった。僕らを乗せた車が急ブレーキをかけて止まった。
道がちょうど見晴らしが悪く細い山道へと入るところだったので、死角からトラックでも出て来たのかと思った。
けれども、そういうわけでは無い様だ。
「……事故だ」
僕とKに向かってSが短く言った。事故だと。
それから車を道の脇のスペースになっている部分に寄せる。
車のライトの先、白いガードレールのそばに、確かに倒れたバイクと共に人影らしきものが倒れていた。
ライトはつけたまま、シートベルトを外してSが車を降りる。
僕とKは一度車内で顔を見合わせた後、無言でSに続いて外に出た。
「おい、大丈夫か?」
Sはもうすでに倒れている人のそばにしゃがんで声をかけていた。
仰向けに空を見上げるその人は、フルフェイスのヘルメットをしていた。ガタイが良く男性のようだった。
声をかけても反応がないと知ると、Sは顎とヘルメットの隙間に掌を差し込んだ。
「おい。お前らぼーっとすんな。K、救急車と警察呼べ」
「お、おう」
「○○(←僕の名前)はバイク道のわきに寄せて、車が来ないか見張ってろ」
「分かった」
僕は周りを見回す。耳も済ませてみたけれど、近くに車の気配はない。
停めた車の近くでKが電柱を睨みながら救急車を呼んでいる。
黒いバイクを苦労して起こし、邪魔にならないように路肩に寄せる。
バイクは前輪がゆがみ、フロントライトが粉々になっていた。それが他の部品と共に辺りに砕けて散らばっている。
傍らでSが「ちっ」と舌打ちしたのが聞こえた。見ると、Sが男の被っているヘルメットをゆっくりと脱がそうとしている。
「なあ、大丈夫なん?こういうときって、動かすのって駄目なんじゃ……」
「呼吸も脈もない。このままだとどっちにしろ助からない」
こっちを振り向かないままSはそう言った。
助からない、という言葉にどきりとする。それは死ぬということだろうか。目の前で。人が。
Sが脱がしたヘルメットを横に置いた。
露わになったその鼻と口から、赤黒い血が流れていた。目は閉じている。短髪の男だ。
生気のない死人の顔だった。
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