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ホラーテラー作品群保管庫
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なつのさんシリーズ「うじの話」9
:2014/06/14(土) 02:13:30 ID:Hpd3syqU0
「一体誰に教えたんだよ……、真相を」
僕がそう言うと、Sは『よくできました』 とでも言うように小さく拍手をした。
元カノの遺族か、もしくは交遊のあった人物か。
いずれにせよその人物は、先輩に対してメッセージを送り続けているようだ。
それは『まだ許さない』 か、もしくは『絶対に忘れるな』 だろうか。
「……彼女の父親だよ」とSは言った。
真実を知ったのは死んだ彼女の父だった。
「『彼』 は先輩を訴えることも出来た。そうすれば、俺も協力するつもりだった。でも、『彼』 はそうしなかった。
法に照らすことはせず、代わりに、手紙だ」
僕は思う。それは法による罰では無く、個人的な復讐を選んだということだろうか。
「……反社会的だと思うか?けどな、先輩も含め、全員がそれで納得しているんだ。
これで良かったと言うつもりはないが、執行猶予を過ぎて全て終わった気になるよりはいいだろ。
……噂の通りだよ。彼女は死後も、ちゃんと先輩をストーカーしてる」
ここで僕はようやく今までの話が、何だかとてつもなく大きな何かを含んだ話だったことに気がついた。
僕の知らない間にSはとんでもない経験をしていたのだ。
身体が重い。ただ話を聞いただけで、精神と体力を大きく消耗してしまった様だ。
「……でだ。最後に、もう一つ」
Sが言う。まだ続くのか。僕は露骨にげんなりする。
「もちろん、この話をお前にした意味は、分かってるよな」
「……え。意味?」
そんなことを言われても意味が分からない。この話自体は単純に僕の『怖い話が聞きたい』 から始まったはずだ。
ただ、どうしてか分からないが、はっきりと嫌な予感がした。Sが話し始める前に感じた嫌な予感の正体でもあった。
「今は手紙だけだが……、もしも今後、先輩が誰かに殺されたとする。
すると、俺は思うわけだ。犯人はきっと『彼』 に違いないと。
で、それが本当に当たっていたら、向こうの方でも、真相を知りうる俺が邪魔だと思うかもしれない」
僕は思う。Sは何を言っているのだろう。
「その果てにもし、俺の身に何か起こったとする。
そうなれば、彼女の自殺に始まる、事件の全貌を知りうる人物は、もう犯人とお前だけってことになる。
今、全部話したんだからな。……まあ、その後どういう行動に出るかは、お前次第だが……」
そしてSは、真顔で僕の右肩に手を置いた。
「公表するか、黙っとくか。どちらもそれなりにきついだろうが。
たった今俺の話を聞いたお前は、万が一の場合は、そのどちらかを選ばなければならない。
迷惑な話か?でも、俺は最初に聞いたよな。『この話を聞く覚悟はあるか』 ってよ」
僕は言葉が出なかった。混乱していた。
部屋の外、廊下で回る換気扇の音がいやに大きく聴こえた。
これはどうやら、とんでもないことに巻き込まれたようだぞ。と、脳みその隅の方で誰かが僕に告げていた。
どうしよう。という言葉が、頭の中で暴れまわっている。
まだ肩に手が置かれたままだった。Sが『おい、どうすんだ?』 といった表情で僕を見ている。
怖い。
唾を飲み込む。
その瞬間、頭の中で暴れる『どうしよう』が、『どうしようもない』へと進化した。
僕は無言のままぎこちなく笑い、Sに向かって親指を立てて見せた。
しばしの静寂。
突然、Sが噴き出した。そんなSを見るのは随分久しぶりのことだった。
茫然としていると、Sは僕の肩を二度軽く叩きながら。
「……ジョークだよ」と言った。
「ジョークだ。ジョーク。ワリー。……でも、それなりに怖かったろ?」
その言葉が止めだった。僕の混乱は最高潮に達した。
ジョーク。つまり、冗談。
ジョーク。つまり、悪ふざけを伴った物語。
ジョーク。つまり……。
先輩は?
事件は?
死んだ彼女は?
なんだか前にもこんなことがあった気がするな。
「……あのさ。さっきの話の、どこからどこまでが、ジョーク?」
僕が辛うじてそれだけ尋ねると、再び読みかけの本を開いていたSは、ちらりと僕の方を見やって、
「さあて。どこまでだろうな」と、少し笑いながらそう言った。
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