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ホラーテラー作品群保管庫

119なつのさんシリーズ「うじの話」3:2014/06/14(土) 01:40:23 ID:Hpd3syqU0
発見された時、彼女は死後三週間ほど経っていた。
それはつまり、俺たちが先輩の家で飲み会をしていた時には、
彼女はまだ誰にも見つからず、長風呂を楽しんでいたということだ。
しかし、夏の間に死んだ人間が三週間も放置されたのだから、その様子はすさまじかったと言う。
風呂桶の中で自ら首を掻っ切ったまでは良かったが、
場所がアパートの角部屋で、運悪く隣近所に誰も入居者が居なかった。
そのために匂いに気付く者がおらず発見が遅れ、ただの死体から腐乱死体へと昇格をする羽目になった。
何処からか入りこんだ蠅が死体に卵を生み、孵化して蛆が湧く。蛆は蠅となり、その蠅がまた死体に卵を産む。蛆が湧く。
この連鎖は、放っておかれた死体が朽ちるまで続く。
彼女は服を着たままで、発見当時、風呂桶には水は溜まっていなかった。
水というのは、死後人間から染み出す大量の腐乱液も含めてだ。それが無かった。
つまり、風呂の栓が空いていたということだ。
下水道へと通じるその穴にはきっと、
水分と肉とが混ざった腐乱液と一緒に、彼女の身体から湧き出た蛆が流れ込んだみ違いない。
下水道というものがどこまで繋がってるのかは知らないが、
『先輩の家に出たと言う蛆は、彼女の身体をもって生まれた奴らではないか?』
『先輩は元カノに死後もストーカーされた』
その後しばらくの間、バイト内ではそんな噂話が絶えなかった。
………………

「駄目だ……、グロいのは、駄目だ」
ここはSの家。
Sの話を聞くうちに、僕は段々とグロッキー状態になっていた。
隣町で自殺した大学生がすごい状態で見つかったというニュースは、僕にも聞きおぼえがあった。
けれでも、と僕は思う。
確かにちゃんと『怖い話』 ではあったが、やっぱりグロいのは駄目だ。虫も駄目だ。
いや、虫はいいが、ぞわぞわと湧きでて来るのは駄目だ。
「グロいのは駄目だ……」
Sは繰り返す僕の主張を無視して、代わりに欠伸を一つしていた。
「……お前が話しろっつったんだろうが」
「怖い話とグロい話は違うと思う。この世の中には、ちゃんとスプラッターとホラーって二つのジャンルがあってだね」
「それって、同じもんじゃなかったか?」
「違う違う。ホラーっていうのは、もっとこう、スマートに……」
言いかけたが、僕は口をつぐんだ。これを話していると夜を超えて朝になってしまう。
「しかしまあ……、下水を越えてやって来る大量の蛆虫かあ……、なんか夢に出そう」
僕は素直な感想を言っただけのつもりだった。けれどSはそんな僕を見やり、馬鹿にしたように「くっく」と笑った。
「……なんよ?」
「いや。やっぱり怖いなと思ってさ」
「だから、何が?」
「そうやって、人の話を簡単に信じるだろ。それが、怖い」
僕は首をかしげる。Sは何を言いたいのか。人の話を信じることが怖いこと。それは、つまりだ。
考えた末、思考が一つの可能性に行きあたった。
「え……、作り話なん?」
しかしSは、「それは違う」と首を振った。
「事実だよ。さっきの話は、俺が実際に体験したことで。そこに偽りはない」
「んじゃあ、」
「お前は一つ、勘違いをしてる」
僕の言葉を遮り、Sはそう言った。
「まあ、普通に考えれば分かることだが。あの話の中には、一つ、嘘がある」
それはつまり、登場人物の誰かが嘘をついたということだろうか。と言っても、先のSの話の登場人物はそれほど多くない。


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