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ホラーテラー作品群保管庫

118なつのさんシリーズ「うじの話」2:2014/06/14(土) 01:39:44 ID:Hpd3syqU0
時間を飲み会当日に戻す。
「最初の方は、まだ許せたんだけどさ。
 だんだんエスカレートしてきて、『あなたを呪う!』みたいな手紙まで出してくるようになってさ……。まいったよ」
そう言って、酔った先輩はふらふらと立ち上がって、
背後の戸棚を探り、その元カノからだと言う手紙を出して俺たちに見せた。
真ん中に先輩の名前があり、あとはA4サイズのルーズリーフにびっしりと『呪う』という文字が書きこまれている。
「きめえ」だの、「ひどい」だの感想が飛んだ。
「……まあ、俺が悪いってのも、分かってんだけどさ。何も、そこまでやることはないだろう……こんなさあ……こんな、」
先輩は自分でも酒に強い方じゃないとは言っていた。その時はろれつも上手く回っていなかった。
でも、だからこそ、つい口を滑らしてしまったんだろう。
「それに、最近さ。なんか俺の部屋、蛆が、出るんだよな……」
先輩がそう呟いた。途端にそれを聞いた全員が、何を喋るでもなく口を開いた。鳩が豆鉄砲食らった様な顔だ。
言った本人も場の空気に気付いて慌てたようだった。
「あ、いや、これ秘密にしてたんだった。しまったな……」
それからは詰問の嵐だ。
最初の方こそ渋っていたが、周りが酒も絡ませながら問い質していくと、ものの数分で先輩は陥落した。
本当は誰かに喋りたかったのかもしれない。
「何かさー。家から帰って来るとさ。シンクの中で何か動いてるんだよ。こう、こう、白くて小さいつぶつぶが数匹。
 何だろなって思って良く見てみると、……蛆だった。ウジ。
 昨日なんか、風呂場にも出たぜ。バスの中の排水溝から、栓を押しのけてゾワゾワ湧いてた」
数名の女性陣が同じ色の悲鳴を上げた。
俺と同期のバイト仲間が「で、その後どうしたんすか」と訊くと、
「ああ。普通に、捨てたよ」と先輩は答えて、それから赤い顔で自嘲気味に笑った。
「俺さ……これ、これって。元カノの呪いじゃないかって思ってるんだけど」
再び女性陣から悲鳴が上がる。
その後で、何人かがシンクや風呂とか、先輩が『出る』 って言った水回りの確認をしていたが、
生憎というか、その日は何も居なかった。

それから一週間程経った後のことだ。
先輩の元カノが死体で見つかったと聞いた。自殺をしていたのだと。
俺がそれを知ったのは人伝だったが、地方のニュースで取り上げられるくらいには大した事件だったそうだ。
発見のきっかけは、アパートの部屋の周りに異常時発生した蠅だった。
郵便受けの蓋と挟まったチラシとの隙間から、異常な数の蠅が出入りしているのを、
訪ねてきた新聞の勧誘員が見つけたんだそうだ。
アパートの管理人がドアを開けた時は、約数十キロもの肉が腐った果ての猛烈な匂いと、
黒い竜巻かと見紛う程の蠅の大群が、同時に中から飛び出してきたらしい。
そして遺体は風呂場で発見された。
部屋の中からは遺書が見つかった。大学ノートに彼女の文字で。
そこには、『人生に悲観して』 という内容だけ書かれていた。
先輩も警察に呼ばれたそうだが、あまり込み入ったことは聞かれなかったそうだ。
警察も最初から自殺として扱っていたんだろう。


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