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ホラーテラー作品群保管庫
114
:
なつのさんシリーズ「ぐるぐる」3
:2014/06/14(土) 01:34:43 ID:Hpd3syqU0
しばらく歩くと、細い道から少し開けた場所に出た。姉貴がライトの光を左から百八十度、ゆっくりと右へと回す。
「ここだね」と姉貴が呟く。辺りは靴を隠すくらいの高さの雑草と、うっそうと茂るナラの木に囲まれていた。
「……なあ、見える?」
俺は恐る恐る尋ねる。
「いたら見えるでしょ。私も、あんたも」
一寸先も見えないほどではないが、辺りは大分暗かった。
街の明かりも星の光も、頭上まで伸びる木々の枝や葉に遮られ、ここまで届いてるのはごく僅かだ。
虫の鳴き声。木々の囁き。目はラク出来るが、耳は忙しい。
「……今日はお留守かな?」と、辺りを見回しながら姉貴が呟く。
「寝てるんじゃね?」と言いながら、俺は若干ほっとしていた。
その時、ふと姉貴の照らすライトの光が白っぽい何かを浮かび上がらせた。
危うく飛び上がりそうになるが、それは石だった。何枚かの平たい石が縦に積まれ、小さな塔の様になっている。
高さは俺の背の半分程だった。
「……あれ何?」
「たぶん、お墓。名前が彫ってあるわけじゃないだろうけどさ。……供養塔だね」
訊いといて何だが、姉貴からしっかりした返答があったことに俺は驚く。
「誰の墓?」
「ん?いっぱい」
姉貴はこともなげに言ったのだが、俺にはその意味が良く分からなかった。
「だから、個人のお墓じゃなくて。そーねぇ……。
ここの、南中山にはね。昔、戦争中に死んだ、身元の分からない人たちの遺体が埋められてるから。いっぱい。
言うたらさ、この山自体がお墓なんよ」
思わず足元を見る。だとしたら俺たちは今、堂々と墓を踏んづけていることになる。
「で。私は、それを確かめに来たわけなんだけど……」
「あえ、何が?」
「んーん。何でもない。なんか、今日は出てこないみたいだし。ぐるぐる。だったら、ここに居ても意味は無いし」
帰ろうか、と姉貴は言う。俺は喜んで賛成した。朝までここに張り込むだなんて言われたらどうしようかと思っていたのだ。
「でも、もと来た道を戻るのはつまらないから、このまままっすぐ、山を一周しようか」
姉貴の提案に、帰れるなら何でも良い俺は素直に首を縦に振る。
そうして、また姉貴が前を行く形で俺たちは歩きだした。
「なぁ、帰りは姉ちゃんが自転車漕ぐんだろ?」
「ぐるぐる見れなかったから、やっぱりあんた漕いで」
「おい何だよそれー。……、……え、マジで?」
それは積み上げられた石の前を通った時だった。
ふと視線の端に何かが居た気がした。
帰れると思ってすっかり気が抜けていた俺は、疑問を抱く前にそちらの方を向いてしまった。
石の横に何かが居た。
最初は猪か何か、獣かと思った。
少量の水で溶いた墨をぶちまけたかのような暗闇の中で、そいつは確かにこちらを見ていた。
身体が固まる。しかし無意識に前に居る姉貴の服を引っ張っていたらしく、姉貴が振り向く。
何か俺に文句を言おうとしていた様だが、それが口から出て来る前に姉貴も俺が見ている何かに気がついた。
ライトの光がそいつを照らす。
ぐるぐる様。
俺の聞いた噂では、身体のどこかが回転しているから、ぐるぐる様だと言っていた。
だが違った。『身体のどこか』 では無かった。全部だ。
例えば、こちらを向いてまっすぐ立った人間を一本の棒と見る。
その棒の腰辺りを正面を向かせたまま、向かって左に曲げる。胸の辺りでもう一度同じ方向に曲げる。首も曲げる。
まるでカタツムリの殻の様に、コーヒーに垂らしたクリームが渦を巻く様に、ぜんまいの様に、
そいつの身体は頭を始点にして渦を巻いていた。
だから、ぐるぐる様なんだ。
頭と思しきモノが膝の横にあった。
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