[
板情報
|
R18ランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
メール
|
1-
101-
201-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
ホラーテラー作品群保管庫
113
:
なつのさんシリーズ「ぐるぐる」2
:2014/06/14(土) 01:34:07 ID:Hpd3syqU0
「……実はね。お母さんが子供の頃にも一度、学校内で噂になったんだって。南中山にはぐるぐるがでるぞー、ってさ」
もうすぐ山に着く頃、姉貴が後ろからそう言った。
街中を流れる川に沿ったゆるい坂道にそろそろ息が切れていた俺は、返事をしなかった。が、姉貴は構わず続ける。
「それどころか、おばあちゃんも若い時に聞いたことあるって言ってたからね。ぐるぐるはそんだけ長生きな怪談話ってこと」
俺の背後から気味の悪い笑い声がする。それはまるで女の子らしからぬ笑い方だった。
「面白いと思わない?ぐるぐる。
この街だけに伝わる都市伝説だし、長生きだし、それでいてずっと語り継がれてるわけじゃないし。
途切れ途切れに、ある時期になるとぽんと顔を出すの。思い出したように。
……ねえ、それって一体何でだと思う?」
完全にスイッチが入ってしまっているようだ。こうなるともう、非力な弟ではとめられない。
「え、俺?いや、そんなん分かんねーし知らねーし……」
「ま、そりゃそっか……。あ、心配しなくても、帰りは私が漕ぐからね。あー私すっごい優しいお姉さん!」
そりゃ帰りは楽だからだろ。ゆるくても下りだし。
しかしながら姉貴は、ぐるぐる様に関して俺より多くのことを知っているようだ。
しばらくして、ようやく俺と姉貴は南中山の入り口に辿り着いた。
車が入れる道もあるが坂が急で、ここから自転車は荷物になるだけだ。その辺の電話ボックスの隣に停めておく。
「「こりゃあ、なんちゅうやまじゃあ……!」」
二人で夜の南中山を見上げ、ここに来る人が必ず想像すると言われるお決まりのギャグをハモる。
と言っても、それほど何かが特徴的な山でも無いのだが。唯一、ぐるぐる様が出るという噂を除いては。
車が通る道路の方は使わず、俺たち二人は歩行者用の階段を使って山を上り始めた。
俺らが自転車を降りたのが山の南側で、ぐるぐる様は北側の斜面に出るのだと姉貴が言った。
自転車を漕いで居た時にはずっと聞こえていた車の走行音が、
今は木の葉の擦れ合う音や鈴虫の鳴き声に取って代わっている。
俺はずんずんと前を行く姉貴の後ろに、まるでコバンザメの様にぴたりと張り付いていた。
「今、小学校でも、ぐるぐるの噂って、流行ってんでしょ?」
不意に前を向いたまま姉貴が俺に尋ねる。
俺は「おう」とだけ返した。流行っていると言えば流行っている。今話題のたまご型携帯ゲーム程ではないが。
「それって、どんな噂?」
「どんなって……、なんか、色んな話がごっちゃになってて……、よう分からん」
すると姉貴はぱっと振りかえり、俺の顔面にライトの光を当てて、
「そう、それなんよねー。私のとこでもよく話は聞くんだけど。最近のは、一貫性が無いって言うかねぇ。
だから、お母さんとか、周りのじいちゃんばあちゃん達にも訊いてみたんだけど」
「姉ちゃん眩しい眩しい」
「出来るだけ多くの話を集めてさ。集計してみたわけ。そしたらある程度特徴が分かったんよ。
例えば容姿とか居場所とか、あと挙動ね」
「眩しいって」
姉貴は俺の話を聞いてくれない。
「容姿は知れたとおり。真っ黒で、ぐるぐるな身体。片腕は無し。
とあるおじいちゃんなんかは、黒いのは火傷の跡だって言ってたけど……。
場所はさっき言った北側の斜面ね。
挙動は、特に何をするわけでもない。人を呪ったりはしないし、追いかけて来る訳でもない」
「まぶ……」
「ただ、姿が異様なだけ。怖さはあるけど危険では無いから。
だから、世代間の間でちゃんと伝わって行かないのかもね。その場だけで終わっちゃうって言うか。
……おっと?あー、めんごめんご」
姉貴はやっと懐中電灯を俺から逸らしてくれた。
その間俺はずっとサーチライトに照らされた怪盗ルパンみたいな体勢をしていたわけだが。
「あんたはその辺どう思う?」
俺はまた返答に窮してしまう。当時の俺は基本的に姉貴に付いていけてなかった。
「……ってか俺、ぐるぐる様の姿知らないし」
「あれ、そうなん?それじゃあ、見てからのお楽しみってことね」
そう言って、また姉貴はずんずんと階段を上って行った。
階段の途中で俺たちは山をぐるりと回る横道に逸れて、山の北側へと回った。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板