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ホラーテラー作品群保管庫
108
:
なつのさんシリーズ「ふくろさん」5
:2014/06/14(土) 01:28:30 ID:Hpd3syqU0
袋をライトで照らしながら、僕は針の数を数えていた。半分ほど抜き終わったところで四十一本。
そうしてから、ふとこの針の数は、人の犯した過ちの数なのだと言うことを思い出す。
僕たちは今何かとんでもないことをしているのかもしれない。
それでも針は抜かれてゆく。
針は残り二十程。
その時だった。鳴き声が聞こえた。
僕ははっとして辺りを見回す。鳥?違う、猫の鳴き声に近い。赤ん坊の泣き声にも聞こえる。
赤ん坊、自分で連想した言葉に背筋が凍る。
Kの手が止まった。彼にも聞こえているのだ。まだ鳴いている。
けれど鳴き声の出所が分からない。左の茂みの中からでもある様な、右の拝殿の下からでもある様な、
空からでもある様な、地面の中からでもある様な。
そして、すぐ傍らの袋の中からでもある様な。
袋。
袋が微かに動いた。
「うわ!」と僕は反射的に後ろに飛びのいた。Kは動かなかった。
ザア、と枝の擦れる音、ナニカのなき声。
頭の中でみーみーみーとエラー音が鳴る。経験上、この音が鳴りだすとヤバいことが起きる。
目を見開く。
それでもまだKは袋から針を抜こうとしていた。
「K、もう止めよう!」と声を掛けるが、Kは針を抜くのをやめないどころか、僕の声も聞こえていない様だった。
立ち上がると足が震えた。全身の血流が段々早くなっているのが分かる。
骨振動で伝わる心臓の鼓動が、まるで大太鼓の様だ。
どうすればいいのか、何をすればいいのか。
Kを殴り倒せばいいのか。Sを呼んでくればいいのか。分からない。動けない。
「そいつをはった倒しい!」
声が聞こえた。
その瞬間、僕の身体は動き、両手でKを突き飛ばしていた。
ライトの光が僕の身体を照らし、僕は振り返った。
そこに居たのは、朝と同じ服装の神主さんだった。
「やれやれ。心配になって来てみりゃあ……、案の定かえ」
外された社の扉とその上に乗った袋を見て、神主さんは深く息を吐いた。
「このバカたれが」
「す、すみません!」
突き飛ばしたKは未だ起き上がって来ない。仕方なく僕は一人きりで神主さんに向かって頭を下げた。
「まあ……間にあったき良かったわ。あれを見とったら、そういうわけにもいかんきよ」
そして神主さんは倒れているKの方を見やる。
「その子を起こしんさい。君ら二人、やらんといかんことがあるけえ」
数回肩を揺すぶるとKは目を開いた。
しばらく焦点のあっていない目で神主さんの姿を見ていたが、はっと我に返り、
「すいませんでしたあ!」とその場に土下座する。
「もうええもうええ。そんで、針を抜いたんは、どっちかえ」
「あ……俺です……」
そろそろとKが手を挙げる。
「ほうか。そんなら君の手でまた針を戻しんさい。
その袋は針を刺すたんびに、ケガレをはろうてくれるき。罪もそう、過ちもそう……。
すみませんでしたと思いながら、一本一本丁寧にな」
「……何か見えるんですか?」
恐る恐るKが尋ねる。
「見える言うた方が怖がるやろうが……、あいにく見えん。でもな、この袋は昔っから『そういうもん』 やき。
それにな、前に来た若者らあは、それを見て、戻ってこれんようになった」
ぞくりとした。
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