したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

ホラーテラー作品群保管庫

106なつのさんシリーズ「ふくろさん」3:2014/06/14(土) 01:26:58 ID:Hpd3syqU0
それに、袋には数え切れない程の針が刺さっている。
袋を開けて中を見るには、これらを一本一本抜かなくてはならないだろう。
「別にこの目で見ないと収まらねーってわけじゃねえよ。
 ま、手っ取り早い方法は神主のおっさんに訊くことだよな。そのために電話したんだし。答えてくれるか知らねーけど」
「訊くだけでいいん?」
「それで納得出来りゃあな」

というわけで、神主さんの元へ話を聞きに行く。彼は本殿の周りの掃除をしていた。
「最近掃除もサボっとったき、えらいことになっちゅうな。はっは」
僕らが近づくと、しゃがんで本殿の下を掃除していた神主さんは笑いながらそう言った。そして腰を叩きながら起き上がる。
「なんぞ聞きたいことでもあるかえ」
「あーはい。あの『ふくろさん』 の中って、何が入っているんですかね?」
何の探りもひねりも入れず、ストレートにKは尋ねた。一呼吸程おいて神主さんがKを見やる。
「聞いてどうするよ。大学のレポートにでも書くかえ?」
「あ。そのつもりっす」
嘘だな、と僕は思う。神主さんは穏やかに笑った。
「メモの用意を忘れとるぞ」
その言葉にKは少しうろたえる。その様子を見て神主さんはまた「はっは」と笑う。
「ええよええよ、わかっとる。前にも、君らの様な若者らあが、興味本位でやって来たことがあったきよ。
 まあ君らは礼儀正しい方やけんどな。ちゃんと、事前に連絡もくれたしな」
どうやら僕らの目的は最初から筒抜けだったようだ。
「中身、見せてくれませんか?」
「すまんけんど。それは出来んわ」
穏やかな口調の中に断固とした意思が感じられた。これはいくら頼んでも無駄だろう。
「あの中身については、教えるわけにはいかんのよ。
 ……ああ、それとも、君らの内、誰か一人がここの跡継ぎになてくれたら、そうなりゃあ教えちゃれるわ。
 おう、そらええ考えやと思わんか?」
本気で言われているのか、からかわれているのか、どっちとも取れず、
「はっはっは」と笑う神主さんを前に、僕らはただ曖昧な笑みを浮かべるだけだった。
結局、『ふくろさん』 に関して神主さんからは何も情報を引き出せず。
僕らは一旦彼にお礼を言って、神社から出ることにした。

車に戻り、どこか憤慨したようにKが言う。
「くっそ、あのオッサンめ。代々神主しか知らない中身って、余計気になるじゃねーか」
「もしかしたら、俺らのこと監視してたのかもな。神体に妙なことしないかどうか」
Sが運転席に腰かけ、リクライニングを少しばかり後ろに倒しながらそう言った。
「そうなん?」と僕。
「……さっき、あのオッサン言ってたろ。前にも同じようなことがあったって。
 でも俺らとは違い、電話でアポはとってなかった。
 ……それでもそいつらが、『若者たち』 だって知ってるってことは、何かやらかしたんだろうな、そいつら」
「その場に居たんじゃない?神主さん」
「あのオッサン、あんま頻繁にここに詰めてる風でも無かったろ。まあ、居たかもしんね―けど」
「やらかしたって、何をやらかしたん?」
「知らねえよ。俺に訊くな」
その時、Kがぽつりと呟いた。「……呪いだ」と。僕とSは後部座席を振り向く。
「それってよ。そいつら、袋に何かしたせいで呪われちまったんじゃねーの?
 で、どうしようも無くなって、あのおっさんに泣き付いた」
「ねーよ」
即座にSが否定する。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板