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ホラーテラー作品群保管庫

103なつのさんシリーズ「Sとの出会い」7:2014/06/14(土) 01:23:00 ID:Hpd3syqU0
「……S君は、本当に幽霊とか、信じて無いんだねぇ」
帰り道。僕がそっと呟く。
「Sでいい。そうだな。あるならある、居るなら居るで別に良いんだが……、今のところ敢えて信じる要素はないな」
その言葉に、僕は、あれ、と思う。引っかかるものがあった。
「……じゃあさ。何で今日とかついてきてんの?メリット無くない?」
Sが横目で僕を見た。けれどもすぐに前方に視線を戻すと、片手で口を隠し、何処か投げやりな口調でこう言った。
「Kの奴は車持ってねえし。俺は運転が好きだからな。それだけだ」
「……ふうん」
ふと、Kと大学前でSを待っていた時のことを思い出す。
あの時Kが言った言葉は何だったか。思い出せない。まあいいか。
その時、ふと、カサリ、という小さな音が聞こえた。何かを踏んづけたのだ。
見ると、それは病院で見つけたあのやっこさんだった。
逃げ帰ってくる時もずっと握りしめていたらしく、二枚の折り紙は両方くしゃくしゃになっていた。
取り上げて手に持ってみる。
大量に『あし』 と書かれた袴の部分。そしてやっこさんの身体。何故かもう恐怖心は無かった。
僕は何となく青いやっこさんを広げてみた。
裏の白い部分に何か書かれている。大量にではなく、小さな文字でひとことだけ。
『おねがいします』
その瞬間、僕の中で何かが繋がった。
『あし』……『幾つものやっこさん』……『追ってきた車イス』……『おねがいします』
「そっか。鶴には、足が無いもんね……」
小さく呟いた言葉はSにも聞こえなかったようだ。
僕はその二枚の折り紙をしわを伸ばして四角に折りたたみ、財布の中に入れた。
感覚的な真理としては、さっきしてくれたSの説明が正しいのだと思う。
幽霊は全部人間の脳が創りだした幻覚で、実在などするはずが無い。
しかし僕には、あの時感じた気配、音、掴まれた袖が引っ張られる感覚、
あれらが全て幻覚だとはどうしても思えなかった。
もしくは、足が治るようにとやっこさんを折る、その意思。
分からない。でも、それでいいんじゃないだろうか。

ちなみに、二枚の折り紙は現在も僕の財布の中に入っていて、今では僕のお守りの様な存在になっているが、
いつかは返しに行こうと思う。あの廃病院に。
ただし、もちろん行くのは昼間のうちにだけども。
もうカーチェイスは、こりごりだ。

「Sとの出会い」終わり


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