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ホラーテラー作品群保管庫
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なつのさんシリーズ「Sとの出会い」4
:2014/06/14(土) 01:20:06 ID:Hpd3syqU0
Kの評価が段々下降修正される中、それを阻止しようとKはゆっくりと音の出所へと向かい、僕はその後ろをついて行く。
音の出所は『202号室』と書かれた病室の様だった。まだネームプレートもそもまま残っている。
井出……高橋……仲瀬川……一つプレートが空いている。ここは四人部屋らしい。
キィ、キィ、……キィ、キィ
音がする。音がしている。このドアの向こうで。
その時、ドアの前に立つKが何の前触れも無く、「……うははは」とひきつった笑い声をだした。
憑りつかれたのかと身構えるが、ただの緊張からくる笑いの様だった。
「……ノックが要ると思うか?」
「いらないと思う……」
「おーけー」
Kがノブに手を掛け、ドアをそっと押して開く。
懐中電灯二本分の光の筋が病室内を照らした。
部屋の端にそれぞれベッドが四つ。マットもシーツも枕もそのままだった。
ドアを開けた瞬間、僅かな風が頬を撫でる。
見ると、窓が割れていて室内に風が吹きこんでいる。
その風のせいで、半分天井から外れかけた蛍光灯の傘が揺れて、
ベッドの横、天井から床まで伸びる鉄製のパイプと擦れ合って、ひび割れた音を出していた。
音の出どころはこれだったのか。
ふう、と隣でKが息を吐くのが聞こえた。同様にKも僕が息を吐いたのが聞こえただろう。
病室内に入る。窓から外を見ると、門の向こうにSの車が見えた。
窓に近い方のベッドの骨組は錆つき、シーツは黒く変色している。
床や天井も幾箇所か剥げており、他の部屋は見ていないが、
おそらく窓が割れているせいで、廃れるのも早かったのだと見当付ける。
このたった四つのベッドで、一体何人の人間が息を引き取ったのだろうか。
一通り室内を見終わったらしいKが、病室を出ようとしている。
僕も入口のドアに向かおうとして、しかし、ふと立ち止まる。一瞬、懐中電灯の光が何かを照らした様な気がした。
入口から見て右手前のベッド。もう一度照らす。
ベッドの上、壁側、枕の横に何かが見えた。白を基調とした病室の中で、その色はちゃんと自己を主張していた。
僕はベッドに近づいてそれを拾い上げる。
折り紙だった。かなり変色しているが、青と、黒色。
鶴ではない。やっこさんだ。しかも袴、足がついている。二枚の折り紙を組み合わせて作るタイプのものだった。
身体が青。袴が黒。
誰かが患者のために折ったのだろうか。
そして僕は息を呑んだ。
ふと、そのやっこさんをライトで照らした瞬間気付いた。
袴の色は黒では無い。黄色だ。黄色い折り紙に、黒い文字がびっしりと書き込まれている。だから黒く見えたのだ。
『あし』
文字はひらがなでそう書かれていた。
よせばいいのに、やっこさんの袴を広げる。
やっぱりその紙には、裏表両方に隙間なく『あし』 と書かれていた。文字の大きさも、方向もバラバラだった。
良く見ると、ベッドの下に隠れる様に同じやっこさんが幾つも落ちていた。めくったシーツの中にも、枕の下にも。
割れた窓から風が吹きこんでくる。
カツン……ギギ……カツ……
半分取れかけた蛍光灯の傘が揺れて、鉄のパイプと擦れ合う音。
違う。音が違う。
僕が聞いたのはこんな音じゃなかった。
そうだ。それにそもそも、扉が閉まっている室内で僅かな風が音を鳴らしたとして、
それが一階まで聞こえて来るはずが無い。
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