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八木橋裕子の物語の感想スレ

266たたみ:2015/12/08(火) 00:59:34
「天からの贈り物」「最後の届け物」では、ヤギーの脳を中心として同心円状に広がる周囲との関係性を重ねていくことによって、
彼女の心の姿が浮き彫りになっていくとの感想を持ちました。
殊に両者で描かれる祖父の姿が軸になっているような構造を感じました。
「天からの贈り物」では近くは彼女の心に最も近い彼女の肉体、そして家族、そして以後長い付き合いになる
ケアサポーター・府南病院、逆作用かもしれませんが佐々波嬢 と徐々に彼女との関係性が連なり、
そして突然の機械化を戸惑いながらも、家族のため、自分を救ってくれた人々の懸命な思いを受け止めて、
あまりの激変ではあってもこれを受け入れていく彼女の強さの萌芽を見ることができました。
決定的なのは、標準義体の彼女を迷いなく受け止め、初めて彼女の自我と人間性の存在(残存と言ってもいいかと思います)に
力強く承認を与える祖父の姿でした。
この作品では、その後のエピソードに比べて、涙が与えられ、眼鏡の説明書に父の想いが映し出され、
自殺を試みたときに表れる彼女の肉体との会話など、幻想的なシーンが彼女の混乱と恐怖を癒し、
祖父に抱かれて強い心を回復するまでの流れが印象的でした。涙を禁じ得ませんでした。
「最後の届け物」では、亡くなった祖父からの最後まで変わらぬ想いと引っ越し屋のメンバーとの心の連帯が、
機械の力を借りているとはいえ、まごうかたなき人間である彼女を再度浮き立たせます。
これだけの連作で、かつ味付けも怒りから愛欲まで幅広い作品であっても、このように彼女のライフイベントのスポットを的確に捉えて、
一人の人間性は、周囲の他者との相互関係によって位置づけられるという社会的存在の人間を、機械の体とギャップがあればこそ、
さらに浮き立たせ、彼女の成長にもつながっている点に深く感じ入りました。


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