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なめなめおじさんに聞いて見るスレ

54 エッチでリッチな なめなめおじさん ◆sQELVfrnG.:2014/04/10(木) 21:51:41 ID:KF9ms4Nc0
私は、どうも納得がいかないまま町を歩き出した。そうだ、地図を調べてみよう。私はこれは名案だと思い、たまたまあった書店に入った。しかし、私の期待は見事に裏切られた。確かに地図はあった。それもちゃんと日本語で書いてあったので私にも読めた。この町が、国というべきか、とてつもなく広いこともわかった。しかし、肝心の、地球上のどこに位置するのかが、どこにも書いてないのだ。私の頭は混乱した。こんな馬鹿なことってあるか。こんなでかい国なのに、私はその存在を今の今まで知らなかった。学校の地理でも習わなかった。一体、ここはどこなんだ。ひょっとして地球ではないのか。そんな馬鹿な。地球以外に人の住んでいる星が見つかったなんて話、まだ聞いてないぞ。

私は、ふらふらと書店を出た。何がなんだかわからなかった。呆然と少し歩き、ふと見ると一軒のレストランがあった。こぢんまりとした、入りやすい感じの店だった。私は急に空腹を覚えた。ま、とりあえず飯でも食って、それからまた考えるとするか。私は店のドアを開け、中に入った。人気のある店らしく、結構混んでいた。私はウェイトレスに案内されてテーブルにつき、受け取ったメニューを広げた。家庭料理風の、うまそうな料理の写真がたくさん並んでいた。私はつい、ウキウキと迷っていたが、あることに気付いてはっとした。値段が書いてないのだ。しまった。もしかしたらこの店、すごく高いのかもしれない。そういえば、このテーブルやイスもさりげなくいいものを使ってるみたいだし。困ったなあ、あんまり持ち合わせがないんだ。今から出るわけにもいかないしなあ。足りるかなあ。まあ、いいか。そう言えば、この国で日本円が使えるとも思えないし。最悪、店の人に頼んで待ってもらって、あの紳士にお金を貸してもらおう。私は恐る恐るあまり高そうでないものを選んでウェイトレスに注文した。ウェイトレスはにっこり笑って奥へ引っ込み、間もなく料理を運んできた。目の前に料理が置かれるやいなや、私は値段のことも忘れて夢中で食べた。腹も減ってはいたが、とにかくすごくうまいのだ。

きっと、相当がつがつ食べていたのだろう。食べ終わってから、隣のテーブルの白人と黒人の学生風の女の子二人連れがくすくす笑っているのに気付いた。照れくさかったので私はそそくさと席を立った。
さあ、いよいよ問題の一瞬がやって来る。果たしていくら請求されるんだろうか。私は店の出口の方へ向かい、レジを探した。しかし、レジは見当たらない。仕方がないのでもう一度、中へ戻り、ウェイトレスを呼び止めた。
「あの…」
「はい、何でしょうか」
東洋系の、愛嬌のある顔をしたウェイトレスは、愛想良く日本語で答えた。
「レジはどこですか」
ウェイトレスは、きょとんとしている。店は結構話し声がしているので、よく聞こえなかったのかなと思い、私はもう一度ゆっくりと繰り返して聞いた。
「レジは、どこですか」
彼女は困ったような顔をして小声で言った。
「あの、すいません。ここにはそういう物、置いてないんですけど」
私は呆れた。こいつまで私をからかうつもりなのか。一体、この国のやつらは何を考えているんだ。よそ者をからかって、そんなにおもしろいのか。私は黙ってウェイトレスをにらみつけた。彼女はすまなそうに、うつむいてしまった。私はちょっとかわいそうな気がして、なるべく優しい口調で聞いてみた。
「私が食べた料理の値段を知りたいんです。お金を払いますから。教えてくれないとこのまま帰ってしまいますけど、いいですか」
ウェイトレスは顔を上げ、不思議そうに言った。
「あのう、お食事がお済みでしたら、お帰りになっていただいてかまわないのですけれど。もっと何かお召し上がりになるのでしたら、ご注文くださればお出ししますが…」
ウェイトレスの表情は真剣だった。とてもふざけているとは思えない。私の頭は混乱した。ひょっとしたら本当にタダなのだろうか。ここは、何かボランティアでもやってる店なのか。でも、来てる客はそんな、生活に困っているふうにはとても見えない。全く訳がわからなかったが、私はとりあえずウェイトレスに、にっこり笑って右手をちょっと上げて挨拶し、店を出てみた。彼女もにっこり笑って見送ってくれた。後は追って来ない。

私は狐につままれたような気持ちで、また町を歩き出した。ほんとにタダだった。だとすると、あの紳士と飲んだコーヒーも、やはりタダだったのかもしれない。なぜだ。なぜ、タダでやっていけるんだ。その時、私の脳裏に無謀な仮説が浮かんだ。(ひょっとしたら、この国のものはみんなタダなのかもしれない)我ながらとっても無謀な考えだと思った。後でそのシステムを理論づけることなど、自分にはできっこないという妙な自信まで持ってしまった。そんな馬鹿なこと、すべてタダで世の中が成り立つはずはないんだ。

つづく


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