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なめなめおじさんに聞いて見るスレ

53 エッチでリッチな なめなめおじさん ◆sQELVfrnG.:2014/04/10(木) 21:48:02 ID:KF9ms4Nc0
暫く歩くと紳士は、今度は大会社という感じの大きなビルに入って行った。私は、ただ黙って後をついて行った。ビルの中では何人かの人にすれ違ったが、皆、紳士に丁寧に挨拶をし、紳士もそれに丁寧に応えていた。私は思った。そうか、どうも貫禄があると思ったら、この紳士はきっとこの会社の偉いさんなんだ。それも、社員たちに好かれている重役といったところか。いや、もしかしたら社長かもしれない。それならそうと早く言ってくれればいいのに。コーヒー代なんかでガタガタ言うんじゃなかった。私は妙に納得してしまい、いい人と知り合いになったかもしれないと思った。

紳士は一つのドアの前で立ち止まった。側にあったベンチで私に少し待っているように言い、彼はドアの中に入って行った。社長室のドアにしては、ちょっとちゃちだなと思ったが、私は見た目より座り心地のいいベンチで、彼が出てくるのを待った。

暫くしてドアが開いた。でも出てきたのは紳士ではなく、掃除のおじさんだった。私は、なあんだと思ったが、そのおじさんをもう一度よく見てわが目を疑った。
「お待たせしました」
それは間違いなく紳士だった。紳士は作業服に手袋をし、電気掃除機らしき機械を引きずって私の前に現れたのだ。目を丸くしている私に彼は言った。
「どうされました。何か変ですか」
私は暫く声が出なかったが、やっとのことで口を開いた。
「あ、の、掃除が…お仕事なんですか」
紳士は自信に満ちた表情で言った。
「そうですよ。私はこのビルの清掃を、もう長いことやらせてもらっています」
私は拍子抜けがしてしまった。てっきり、金持ちの社長か重役と友だちになれたと思っていたのに…。私は、正直言ってとてもがっかりした。紳士は掃除機のスイッチを入れて仕事を始めた。すごく高性能の掃除機らしく、何の音もしなかった。紳士は言った。
「できれば町をご案内してさしあげたいのですが、私はこれから暫くここで仕事をしなければなりません。申し訳ありませんが、お一人で散歩でもなさって来ていただけませんか。いえ、心配はいりません。この町の人たちは皆とても親切ですから、わからないことがあったら誰にでも遠慮なく聞いてください。散歩に飽きたら、ここに戻って来てください。私はあなたが戻って来られるまで、ここで仕事をしております」

私は一人でビルの外に出た。町は相変わらず美しく、活気があった。妙な所に来てしまったものだ。一体、ここはどこなのだろう。私は暫く町を行く人々を眺めていた。ほんとにいろんな人種がいる。白人も黒人も黄色人種も。でも皆とても仲がよさそうで、楽しそうに話したり、笑ったりしている。それを見ているだけで、私は何だかとても嬉しい気分になってきた。どこだか知らないけど、いい所だな。少なくとも日本ではなさそうだ。いろんな人種がいるところを見るとアメリカかな。でもアメリカにこんな平和で美しい都市があったんだろうか。私は思い切って、ちょうど目の前を通りかかったキャリアウーマン風の美しい白人女性に声をかけてみた。
「あの、ちょっとお尋ねしますが、ここはどこなんでしょうか」
その女性はにっこり笑って私を見つめた。私は(しまった)と思った。日本語で話しかけてしまった。私はどぎまぎして、ええと、英語ではなんて言えばよかったっけなんて考えていると、その女性が突然口を開いた。
「ふふ、どこなんでしょうね」
キャリアウーマンは、にこやかに笑いながら、足早に去って行った。私は呆気にとられた。なんてやつだ。日本語を喋ったと思ったら、私をからかって行ってしまった。あの紳士といい、キャリアウーマンといい、人の良さそうな顔をして何を考えているんだ。

つづく


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