1月21日、本学15号館15102セミナー室において、ストックホルム大学 生化学・生物物理学部門 膜研究センター Gunnar von Heijne 教授を招き、「第9回 バイオフォーラム2012」が開催された。
von Heijne博士は、細胞の働きに必須な役割を持つ膜タンパク質がどのように作られるのかを研究してきた。
膜タンパク質は、リボソームによる翻訳に共役しつつ、生体膜の脂質二重層に組み込まれていく。この時、トランスロコンと呼ばれる SecYEG (Sec61)複合体は、ポリペプチドを膜に受け入れる経路を提供する。
von Heijne博士は物理学的な視点を取り入れた研究を展開しており、これまでに疎水性アミノ酸側鎖の脂質層への分配がタンパク質の膜への組込みのエネルギー源となっていることを示してきた。
今回の講演では、膜への組込み力の動力学的な測定の試みについて述べた。
この実験は、本学総合生命科学部で研究されてきた「翻訳アレスト」とその解除というタンパク質合成装置であるリボソームの内部で起こる現象を巧みに使ったという点で注目された。
講演は基礎的な研究を系統的におこなうことの重要性を印象づけるものであった。
2013年2月4日(米国東部時間 午後3時)に米国の科学雑誌Proceeding of the National Academy of Science (PNAS)のオンライン版に、
総合生命科学部および構造生物学研究センターの 津下教授と鶴村プロジェクト助教等の「イオタ毒素−アクチン複合体結晶構造解析から
示唆されるアルギニンADPリボシル化の反応機構」に関する論文が掲載されました。
■掲載論文名
"Arginine ADP-ribosylation Mechanism Based on Structural Snapshots of Iota-toxin and Actin Complex"
イオタ毒素−アクチン複合体結晶構造解析から示唆されるアルギニンADPリボシル化の反応機構
Proceeding of the National Academy of Science (PNAS)
生命システム学科 佐藤教授、井尻助教らの共著論文が「Global Medical Discovery」サイトの「Key Scientific Articles」として紹介されました
2013年3月22日、総合生命科学部 生命システム学科の佐藤教授、井尻助教らの共著論文が“Global Medical Discovery”サイトの“Key Scientific Articles”の一つとして紹介されました。
本論文は国際学術雑誌Journal of Signal Transductionからの執筆依頼により書かれ、査読・受理を経て昨年秋に発表されました。
そして今回、海外で運営されている医学・生物学系の研究者コミュニティサイトGlobal Medical Discovery(略称GMD)が選定するKey Scientific Articlesの一つに選定され、同ホームページで公開されることとなりました。
このことは、本論文が当該研究分野の発展に資する重要な知見を記したものとして高い評価を受けたことを意味しています。
この様に、最新のハードウェア技術と生物が進化の過程で獲得してきた非線形ハードウェアに不思議な符号が見られる事は、ハードウェア技術と非線形力学系理論を研究対象としてきた小生としては見逃すことは出来ません。
本講演では、動的再構成VLSI技術と非線形力学系理論からの人工神経系の構築へのアプローチを紹介し、
その神経補綴やBoIP(Brain over IP)への応用について議論したく思います。