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大衆迎合なエスペラント運動を考える

93松戸彩苑:2007/02/09(金) 02:10:06
言語学者が書いたエスペラント論をもう一つ思い出したので、ここに紹介しておきますね。

それは、月刊「言語」2000年8月号64〜75ページに掲載された、立川健二氏の「英語
批判の手前で ― エスペラントからザメンホフへ」というものです。

この論文は、次のような文章で始まっています。

  ぼくたちが生きているこの二十世紀末、国際共通語と言えば、議論が始まる前に答え
  はもう出てしまっている。その答えとは、言うまでもなく英語である。今世紀のはじめま
  で英語と覇権を争っていたフランス語でさえ、ほとんど忘れ去られている。エスペラン
  トはと言えば、失敗に終わった人工国際語の試みとして枕詞のように言及されるにす
  ぎない。価値判断は別として、エスペランチストは、このような世界の言語状況の「現
  実」を認識しなければならない。(同書64ページ)

これだけを読むと、まったく単純な「エスペラント否定論」みたいに見えますが、しかし決し
てそうではないんですね。

というのも、この人は驚くべきことにJEIの会員なんですね。
現在はどうなのか知りませんが、少なくとも、私が持っている2000年度版のJEIの会員
名簿には、ちゃんと載ってるんですよ。

では、どうしてJEIの会員が、エスペラントを否定するのか。
あるいは、どうして「エスペラントが国際語になる可能性はまったく無い」と考えている人物
が、JEIの会員になったのか。
---

結論を言ってしまいますと、立川氏の考えは

(1) 「エスペラント」が国際語になる可能性はまったく無いのだが、しかし「ザメンホフの
   思想」は素晴らしくて、これには将来性がある。

(2) だから、現在の「エスペラント」の価値というのは、ザメンホフの思想を直接読めると
   いう事だけである。
   これ以外には、エスペラントには価値はまったく無い。

(3) そして、エスペランティストたちは「ザメンホフの思想」を重視していると言うが、立川
   氏から見れば、まったく生ぬるい。
   立川氏の考えでは、エスペランティストというのは、「ザメンホフの思想」を学んだら、
   ただちに社会を良くするために働くべきなのである。
   それのみが大事なのであって、エスペラントを普及させようとしたり、エスペラントで文
   学作品や学術論文を書いたりするといった事は、まったくの無駄である。

というものなのです。
要するに、立川氏にとっては「ザメンホフの思想」だけが重要であって、「エスペラント」を
国際語にしようなどという努力は、まったく意味がないと考えているわけですね。

JEIの会員になっているのも、おそらく「ザメンホフの思想」だけは高く評価しているからな
のでしょう。

ということで、私はこの論文の内容を、徹底的にバラしてしまっています。
こういう振舞いは、まだ読んでいない人に対してずいぶん失礼だと私も思うのですが、そ
れでもあえて結論を書いたのは、説明しておかないと、この論文の趣旨が理解できない
可能性があると思ったからです。


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