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エスペラントの学習法
7
:
松戸彩苑
:2007/12/08(土) 03:43:31
今回は、黒田龍之助(著)『外国語の水曜日』(現代書館 2000年)という本のなかから
引用しようと思います。
黒田氏は1964年生まれで、大学に入ってからロシア語を勉強しはじめて、NHKのロシア
語講座の講師にまでなった人です。
また同氏は、ロシア語をはじめとするスラブ語だけではなく、それ以外の外国語をも趣味
で勉強しているという方でもあります。
---
外国語学習にとって最も大切なこと
この章をここまで読み進めてこられた読者は、「わぁー、なんだか厳しいことが書いてある
なあ」と感じられたかもしれない。ちょっと過激だったかな、とも思う。ごめんなさい。べつに
みなさんを責めているわけではありません。ただ人というものは、あることを信じ込んでし
まうとそれをなかなか訂正できないもので、しかもなぜか何の根拠もないものほど、頑な
に信じ込んでしまう傾向がある。それを打ち破るためには多少のショック療法も必要かと
判断したのである。
さて、この節の題名には、みなさん期待を寄せていることだろう。なにか秘訣でも伝授して
くれるのではとお考えだろうか? 外国語学習の本にはこの種のテーマがつきものである。
しかし多くの場合は常識的なことだったり、反対に実行不可能なことだったりする。あまり
実用的でないこともよくある。
ではわたしの考えはどうかというと、常識かどうか、とにかく呆れるような内容である。しか
しこれこそが必要だと心から信じているのだ。
外国語学習にとって最も大切なこと、それはやめないことである。
「続けること」なんていう積極的なものではない。とにかくやめない。諦め悪く、いつまでた
ってもその外国語と付き合っていこうという、潔くない未練たらしい態度が必要なのである。
大学では外国語学部に籍を置き、夜の語学学校でも勉強をしてきたが、思い返してみれ
ばわたしより優秀な人はいくらでもいた。そういう人は授業中なんかも必ずキチンと答える
し、宿題はやってきているし、そもそも前回やった内容をしっかりと身につけていた。わたし
はといえば、うまく答えられなかったり、宿題がちゃんとできていなかったり、そもそも文法
事項がキチンと頭に入っていなかったり、さらには二日酔いだったりしてボロボロだった。
けれども授業は休まなかった。恥ずかしい思いをしながらも諦めなかった。
しかも不思議なことに優秀な人というのは、あるレベルに達すると「わたしの○○語はこれ
でもう十分である」とキッパリ判断し、あれほど熱心だった学習をパタリと停止してしまうの
だ。先生はたいてい残念がるのだが、本人はあっさりとやめてしまう。こちらは先生から
「たいして効果も上がらないのにまだやっているのか?」と呆れられながらも、諦め悪くま
たノコノコと教室に向かっていたのだった。
いまでこそ教師なんていう「偉そうな」稼業をやっているが、あの優秀な人たちが本気で研
究者を目指したなら、わたしなんてきっとかなわなかったと思う。
わたしがやったのは、やめないことだけだった。
そりゃあ、わたしだって勉強がいやになったこともある。でもそういうときは、たとえばロシア
語に飽き飽きしても、ロシア映画を見たり、ロシア文学を読んだり、ロシア美術全集を眺め
たり、ロシア料理を食べたり、とにかく何かしらロシアと関係のあることをして気分転換をし
た。そのうちに「ロシア語イヤイヤ病」も治まり、また性懲りもなく勉強を続ける、そんなこと
の繰り返しだった。
潔いのはカッコいい。物事、白黒ハッキリさせるほうが気持ちいい。そう考える人も多いだ
ろう。
でもわたしは違っていた。どうせ完璧なんて無理なんだから、中途半端でも構わないじゃ
ない? そんなに目くじら立てないで、楽しく勉強しようよ。べつになにかに追いかけられて
いるわけではないし。そう、外国語ができなくたって、死ぬわけじゃないでしょ。
わたしはそういういい加減な人間なのである。でも、おかげさまで外国語をここまでやめず
にきました。外国語の学習はキッチリやることが王道である。でもいい加減な人間にはまた
それなりの方法があるんじゃないかと考えている。
いまでもわたしは、諦め悪く、いくつかの外国語をやめないでいる。
(同書149〜151ページ)
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