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日本茶掲示板同窓会

205キラーカーン:2018/02/10(土) 01:33:57
7.3.4.4. 半大統領制
7.3.4.4.1. 総説

 半大統領制とは、国民の直接投票で選出される行政府の長である大統領と議会の信任に依存する首相との間で行政権(執行権)を共有している体制を指す。即ち、大統領は首相行政府の権限を共有し、首相は議会(与党)と権限を共有する。

 とはいっても、大統領と首相が「並立」しているのではない。大統領の出身政党と議会多数派が同じである場合には、大統領制が優位に立ち、そうでない場合には、首相が優位に立つ。但し、劣位になった方の権力・権限がゼロになる事(つまり、純粋な大統領制と議院内閣制との「交代」)にはならない 。

7.3.4.4.2. 半大統領制の持つ「曖昧さ」

 このように、半大統領制は大統領制と議院内閣制との間を揺れ動く「曖昧な政治体制」ということもあり、論者によって半大統領制に該当する国家には異同がある。ここでは、代表的な論者として、「半大統領制」という語の生みの親であるデュヴェルジェと「交代大統領制」(この語については後述)の提唱者であるサルトーリを例に引く(図3参照) 。

 デュヴェルジェは、フランス、ヴァイマール・ドイツ、ポルトガル、フィンランド、スリランカ、オーストリア、アイルランド、アイスランドの8カ国を半大統領制の国としている。一方、サルトーリはオーストリア、アイルランド、アイスランドの3カ国については、大統領の権限が名目化していると判断して議院内閣制としている。「半大統領制」という語はフランス第五共和制の政治体制を説明するためにデュヴェルジェが作った語であるが、デュヴェルジェもサルトーリも第五共和制以前に消滅した政治体制であるヴァイマール・ドイツを反大統領制に分類しているのは興味深い 。

 この「元首(大統領)」の権限が実質化したために、政治体制が議院内閣制に移行したという事象は、欧州における多くの立憲君主国に見られたのみならず、戦前期日本の「憲政の常道」期にも見られたものである。半大統領制か(大統領の権限が名目化した)議院内閣制かの判定は、民主政の発展段階にある立憲君主制における君主の権限と首相の権限との判別、或いは、立憲君主国に多く見られる君主権力の名目化と同様の問題である。しかし、半大統領制はその「曖昧さ」を活かして、政治状況に応じ、大統領制と議院内閣制を「切り替える」ことを可能とする政治体制なのかもしれない。

 そして、半大統領制の持つ大統領制と議院内閣制との間の「振動」という性質に着目し、その可能性に着目したサルトーリは「交代大統領制」(後述)提唱する 。また、「交代大統領制」の実例とはみなされていないが、実質的に大統領制(超然内閣)と議院内閣制(憲政の常道)の間を揺れ動いた体制として大日本帝国憲法体制、特に「1900年体制」がある。このように、大統領制でも議院内閣制でもなく 、その両者の間を「振動する」政治体制が、現在のような「ネトウヨ化」した社会において分断を緩和する可能性のある政治体制として以後述べていくこととする。


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