政治体制論でいう大統領制は「大統領」という役職(国家元首)が存在しているという政治体制を指すという意味ではない。言い換えれば、役職の名称の如何を問わず、国家元首が以下のような性質を持っている場合に「大統領制」に分類される。
① 国家元首を(実質的 )直接選挙で選出する
② 国家元首は議会により、任命又は罷免させられない
③ 大統領と内閣との間に「二重の権威」を認めない。国家元首は内閣を指揮する
7.3.4.2.3. 成功例としての米国
「世界に冠たる民主主義国家」としての米国の名声は不動のように思える。勿論、人種差別など米国の民主主義にも問題がないわけではないが、「世界一の民主主義国家」として米国を挙げることに異を唱える人は少数派であろう。その米国が「大統領制発祥の地」であることから、「君主制の改良型」である議院内閣制よりも、民選の元首である大統領制の方が「民主的」であるとの「イメージ」も強い 。しかし、米国以外の大統領制は必ずしも「民主度」は高くない。サルトーリは米国の大統領制が成功している理由について、
① 思想的な無節操
② 脆弱で無期率な政党
③ 地域中心的な政党
の3つを挙げている 。