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日本茶掲示板同窓会

203キラーカーン:2018/02/08(木) 00:35:31
7.3.4.2. 大統領制
7.3.4.2.1. 総論

 政治体制論でいう大統領制は「大統領」という役職(国家元首)が存在しているという政治体制を指すという意味ではない。言い換えれば、役職の名称の如何を問わず、国家元首が以下のような性質を持っている場合に「大統領制」に分類される。
① 国家元首を(実質的 )直接選挙で選出する
② 国家元首は議会により、任命又は罷免させられない
③ 大統領と内閣との間に「二重の権威」を認めない。国家元首は内閣を指揮する

 当然のことながら、上記の条件を満たさない、「大統領が存在する『議院内閣制』」という政治体制が存在するのも、既に述べたとおりである。。

 サルトーリは「大統領制はあまり機能しなかった。アメリカ合衆国を唯一の例外として(中略)それらは決まってクーデターや革命に屈した。」と大統領制の安定性について厳しい評価をしている 。逆に、だからこそ、唯一の成功例としての米国の大統領制を「ベスト・プラクティス」として分析する意味はある。

7.3.4.2.2. 失敗例としての南米諸国

 南米諸国は19世紀に相次いで独立を果たすが、独立後の政治体制については、米国を参照とし、大統領制を採用した。しかし、多くの国でクーデターなどによる民主制(大統領制)の崩壊を経験している。この原因は、「強力な大統領」という「幻影」に怯え、大統領権力を弱体化する方向へ政治力学は働いた結果、「決められない政治」に陥ったというものである 。

7.3.4.2.3. 成功例としての米国
 「世界に冠たる民主主義国家」としての米国の名声は不動のように思える。勿論、人種差別など米国の民主主義にも問題がないわけではないが、「世界一の民主主義国家」として米国を挙げることに異を唱える人は少数派であろう。その米国が「大統領制発祥の地」であることから、「君主制の改良型」である議院内閣制よりも、民選の元首である大統領制の方が「民主的」であるとの「イメージ」も強い 。しかし、米国以外の大統領制は必ずしも「民主度」は高くない。サルトーリは米国の大統領制が成功している理由について、
① 思想的な無節操
② 脆弱で無期率な政党
③ 地域中心的な政党
の3つを挙げている 。

 つまり、米国の政治風土が党派的、思想的な原因により議会の対立軸が固定化されることを回避する、言い換えれば、その時々の議員個人の選挙区の利害関係によって議会での態度(投票行動など)が決定されるということである。また、このことを裏面から表すものとして「(米国の大統領は)建国の父たちが、党派的な対立から超越してそれを抑制する存在として設計したものである 」という表現もある。その議員の利害を纏め望む法律案を成立させるためには、議員を調停できる「強い大統領」を必要とした。

 これらを纏めると、
① 議会内の対立軸は案件により異なり、政党間で固定化されてい「ない」
② 大統領は議会内の対立から超然としているべきである
というのが元来の米国の大統領制の制度設計であったといえる 。

 サルトーリは、このような分断が固定化されていない米国の政治環境が米国の大統領制を「成功」に導いたとしている。言い換えれば、大統領制においては、行政府を掌握している「強い」大統領と、案件に応じて党派性を超えた投票行動を容認する「弱い議会政党」が成功する大統領制の条件である(分離から融合)。

7.3.4.2.4. 米国大統領制の黄昏?-トランプ大統領を生み出したものは何か

 米国においても、大統領は「行政の長」よりも「政党の顔」としての比重が大きくなってきている。このため、大統領の議会への働きかけ自体が党派的対立を招くようになったとされている 。また、法案に対する大統領の立場表明によって、それを支持するか否かで二分されやすいという傾向にある 。

 これらのことから考えれば、党派対立から「超然」とした行政府の長としての大統領とを、ここ数十年の傾向として、共和・民主の二大政党に対応した党派性に基づく二分化の傾向が強まってきた議会 との相乗効果によって、米国政治も二分化される傾向にあるとの推測は成り立つ。その党派性による分極化・分裂がトランプ大統領の登場により誰の目にも明らかになってきたのでないかと推測できる。


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