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日本茶掲示板同窓会

174キラーカーン:2018/01/08(月) 02:13:54
7.1.3.3. 移民の増加による「外国人コミュニティ」の形成とアイデンティティー摩擦
 移民が流入することは、中間層から職を奪うだけではない。移民と旧来からの住民との間で生活集団を巡る摩擦を必然的に引き起こす。移民がもたらした問題は「没落した中間層」だけではない。移民が移民先の社会秩序に適合しないことによる社会不安及びアイデンティティー危機も発生する。「郷に入れば郷に従え」ということわざもあるように、移民側が少数であり、かつ、移民先の文化に「同化」する形であればこの問題は生じない(例:日系米国移民 )。たとえ摩擦が生じたとしても「制御可能」な範囲に緩和される可能性が高い。この点で移民の流入の制限にしている日本は極右にとっての手本になっているというのは先に述べたとおりである。旧植民地では「中〜上流」に位置する「エリート」が旧宗主国に移住する場合には、流入する移民の数も多くはなく、かつ、そのような「秩序ある平穏な移民」であることも期待できる。

 しかし、移住国の文化などに無関心な「一般庶民」の移民や宗教的戒律が絡む場合、外国からの移民が移民先の社会慣習に「同化」することは容易ではない。特に宗教が絡む場合、移民先への「同化」が往々にして「棄教」を意味することもあり、容易ではない。特に、内心と行動とが分離できない(宗教的戒律で日々の行動が細かく規制されている)イスラム教徒にとって、移民先の欧米の習慣に「同化」することとイスラム教の戒律との両立はかなり困難である。例として、1日5回の礼拝を挙げるだけで十分であろう。この礼拝の戒律が非イスラム圏で多数を占める人々との生活習慣との間で摩擦を生じさせることは容易に想像できる。

 宗教的戒律だけが問題ではないにせよ、欧州キリスト教圏とイスラム圏との間ではツール・ポワティエの戦いや十字軍など、イスラム教徒キリスト教は1000年以上にわたって争いを繰り広げている。現在においても、「イスラム国(IS)」といったイスラム過激派による欧州キリスト教圏でのテロは収まる気配がない。キリスト教徒とイスラム教徒との共存は現在においても困難な状況にある。

 このように、移民は「没落した中間層」の発生という経済的問題だけではなく、移民先のキリスト教文化に統合・包摂されない現代の「まつろわぬ民」という副産物をもたらした。このイスラム教徒の移民という「まつろわぬ民」を如何にして社会に統合・包摂するかという問題と移民によって発生した「没落した中間層」を如何にして救済するかという問題の二つが絡み合った複合問題に対する「処方箋」を持ちえたのは「福祉排外主義」と(イスラム教)移民移民の排斥(或いは、排斥できないまでも移民受け入れに関し「厳格な管理」を行う)という施策を打ち出した「極右」だけであった。

 このような経緯を経て、極右は経済のグローバル化によって動揺した社会を立て直すため、「極右」と言われながらも、欧米的な「自由主義」の護持者としての地位を固めていき、政治の舞台における地歩を固めていき、いくつかの国では連立与党として政権に参画するまでになっている。


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