したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

日本茶掲示板同窓会

172キラーカーン:2018/01/05(金) 01:32:08
7.1.3. 欧米型ネトウヨ化(グローバル化による経済的不安が発端)
7.1.3.1. 総説
 欧米のネトウヨ化は、日本のネトウヨ化とは異なり、「歴史認識論争」からではなく、経済のグローバル化によって増大した移民によって引き起こされた国内経済状況の変化特に「中間層の没落(の恐れ)」による移民排斥感情が引き金となっている。

 先に述べたように、欧州各国における移民問題は、冷戦終結前からドイツ(旧西ドイツ)のトルコ人移民のように散発的に表面化していた。しかし、それは、移民の労働環境の劣悪さの告発が主題であり、現在の「没落した中間層」や「福祉排外主義」という文脈ではなかった 。

 冷戦終結後の経済のグローバル化の進展によって、経済的な裕福さを求めて外国から欧米先進国への移民の流入が増大した。さらに、冷戦時代のような米ソ超大国による「たが」が無くなり、(全世界的紛争に発展する可能性のない)地域紛争が増加し、難民保護の観点から欧米先進国にそのような戦災難民も流入するようになった。

 そのような難民や移民は肉体労働的な職に就くことが多かった。その結果、移民先の中間層の国民が担っていたが移民との競合にさらされ、多くは移民がその仕事を奪っていった。また、EU発足によって、加盟国間で移民に対する取扱の差異が残存しているのにも拘らず、EU域内における経済的国境が事実上撤廃されたことも、移民流入の増加傾向に拍車をかけることとなった 。

 このようにして移民に仕事を奪われた「没落した中間層」が、その対策として移民の流入制限等の施策を求めるのはミクロレベル或いは対症療法的には正しい。移民が増えることにより増大する社会的リスクは、その移民に仕事を奪われた「没落した中間層」の発生だけではない。移民増大によって彼らの声が無視できなくなり、旧来からの住民と新しく移住してきた移民との間でアイデンティティー摩擦が生じることである。特に、宗教的価値観の異なる国(例:イスラム圏からキリスト教圏である欧州)へ移住した場合、その摩擦は大きくなる

 このように、移民の流入や経済のグローバル化によって、経済的状況のみならず、所属する共同体のアイデンティティーといった欧州社会の安定を担ってきた層が「没落した中間層」となっていった。「極右」政党は、移民排斥だけではなく、経済のグローバル化によって祖国(ひいては欧州)がアイデンティティー危機に陥っているという点を訴えた。そして、そのような「没落した中間層」の声をくみ取る努力をしてきたのは「極右」政党のみであった 。その結果、「極右」政党は、「我こそが欧州社会の守護者」へと変革を果たし、主要政党の座にのし上がった。

 その後、「多文化共生」 の名の下に、移民増大による従来からの社会的アイデンティティーが揺さぶられることとなり、「極右」政党も福祉排外主義一辺倒ではなく、極右政党こそが「自由でリベラルな」欧州社会の担い手であるとして支持を伸ばしてきた。更には「福祉排外主義」により、先ず「没落した中間層」である国民の救済が第一という施策を掲げ、本来、左派の支持層である貧困層にまで支持が浸透してきた。それが、欧米における「右傾化」の実態である 。

 このように、欧米型ネトウヨ化は、経済のグローバル化とそれによる移民の流入による「中間層の没落」を契機として、移民の増大によって欧州社会のアイデンティティーが揺さぶられたことに効果的に対応できたことによって発生した。

 「極右」は移民排斥という処方箋を提示した一方、リベラル・左派の側は有効な対案を提示的なかった。リベラル・左派は、これまで、「多様化」や「グローバル化」の観点から、移民受け入れに賛成であり、それに反対する人々を「排外主義者」や「人種差別」として糾弾するだけであり、「没落した中間層」の救済へ意識を向けることはなかった。

 この結果、左派・リベラルは本来の支持者層である「没落した中間層」にそっぽを向かれ「極右」の台頭を指を咥えてみているしかなかった。これからは、左派・リベラルが彼らに対する「処方箋」を提示てきるか否かが焦点となる。それが、左派・リベラル復活のカギとなる。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板