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日本茶掲示板同窓会
154
:
キラーカーン
:2017/12/13(水) 00:02:10
6.3.2.2.4. スイスの政治制度と「二者択一」との親和性(国民投票制度)
スイスは、他国のような行政府の長が存在せず、国会議員から選ばれた7人の閣僚が対等であるという大統領制とは程遠い政治制度である(「首相」に相当する閣僚会議議長は輪番制)。しかし、5万人以上の署名を集めれば通常の法律案でも国民投票に付すことができるという制度があるため、他国に比べ、立法過程において国民投票が行われる頻度が高い。国民投票では「賛成」か「反対」の二者択一となるため、国民投票は全国規模で有権者に二者択一を迫ることとなる。
このような国民投票が多用されるスイスの政治制度において、国民党が行った二者択一的な訴えは効果的であった。この結果、大統領制或いは大統領制化と程遠いとスイスの政治制度においても、大統領制化とは異なる形で二者択一と親和性の高い政治体制の下で「ネトウヨ化」が進んでいった。
6.3.2.2.5. スイスの「歴史認識」とネトウヨ化
橋下元大阪市長の政治手法に見るまでもなく、二者択一的な訴えを行う場合、「敵」を措定する方が広範な支持を集めやすい。しかし、敵を措定するためにも、ある程度は「アイデンティティー」を持っておいた方がよい。スイス国民党がそのために用いたのは「歴史認識」であった。
第二次大戦期、スイスにも、少なくないナチ協力者が存在したといわれている。しかし、国民党はスイスの現在に至るまでの独立と永世中立の歴史を前面に出した。具体的には
① エリートはともかく、一般国民は中立を守った
② 中立を守るために国境を守る『排外主義』は肯定される
③ スイスの連邦制を堅持することによる「国民投票制度」の維持
というものであった。
国民党は、スイスの「誇りある歴史」を援用することによって、これまでの支持層を維持しつつ「極右」、肉体労働者、単純知的労働者という「没落した中間層」をはじめとする新規支持者の獲得に成功した。この結果、1999年の総選挙で議席数では社民党に及ばなかったものの、得票率では社民党と並ぶ第一党になった。
このように、スイスの「ネトウヨ化」も他の欧米型(ドイツを除く)と同様に、移民問題に代表される経済問題主導型であるが、歴史認識を「ネトウヨ化」の補強材料としている点が他の欧米型ネトウヨ勢力とは異なる。
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