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日本茶掲示板同窓会

141キラーカーン:2017/11/14(火) 00:13:13
6.3.1.5.4. 2017年9月総選挙
 2017年9月、任期満了によるドイツ連邦議会選挙が行われた。選挙前から、与党第一党であるCDU/CSUの第一党維持は確実視されていた。しかし、大連立を組んでいた二大政党(CDU/CSUとSPD:社会民主党)の一角であるSPDは大連立内閣で埋没し、党勢が伸び悩んでいた。それ以外の中小政党では、前回総選挙でAfDに支持者を食われる形で議席を失ったFDP(自由民主党)の議席回復とAfDの議席獲得が確実視されていた。

そのような中で選挙戦に突入し、投票結果は次の通りとなった。
① CDU/CSUが事前の予想通り第一党の座を維持したものの、246議席(選挙前 311)に減らし、CDU/CSUの得票率は1949年以降最低となった。
② AfDは94議席(連邦議会で初の議席)を獲得し、第三党となった。
③ 前回総選挙で議席ゼロとなった自由民主党も80議席を獲得し、連邦議会に返り咲いた。議席数では緑の党及び左翼党を上回る第四党となった。
④ 左派勢力では、社会民主党が第二党の座を維持したものの、史上最低の153議席(選挙前192)にとどまった。
⑤ 緑の党は69議席(選挙前63)及び左派党は67議席(選挙前64)と微増にとど まり、AfD及び自由民主党の後塵を拝することとなった。

 ドイツの「die Zeit」誌の分析によれば、今回総選挙の特徴は以下のとおりである
① 100万人以上の有権者が今回の総選挙でCDU/CSUからAfDに乗り換えた。
② 前回総選挙で左翼党に投票した者のうち11%がAfDに投票した。
③ AfDの得票のうち140万票が前回棄権した有権者である。
④ 今回自由民主党に投票した者の三分の一が前回総選挙ではCDU/CSUに投票した。

 この選挙結果から見れば、二大政党が議席を減らした分がAfDと自由民主党が分け合ったということになる。CDU/CSUは社会民主党との大連立で「左旋回」したため、CDU/CSUに取り残された右派の支持がAfDと自由民主党に流れ、前回総選挙で社会民主党に投じた層からは、CDU/CSU、緑の党、左翼党へほぼ均等に投票者が流出している。

 また、この選挙結果を受け、
① 大連立でCDU/CSUに埋没した社会民主党が連立を解消
② CDUと議会内統一会派を組むCSUが独自の立場で連立交渉に参加の動き
という事態が発生している。

 CDU/CSUと自由民主党の2党連立では過半数に達しないため、緑の党を加えた三党連立(ジャマイカ連立 )が本命視されているが、緑の党との政策距離が他の二党と離れていると見られていることから、この三党連立交渉は難航が予想される。

 連立の安定度から言えば、CDU/CSUと自由民主党の連立に社会民主党が加わる「超大連立」或いは総選挙前と同様のCDU/CSUと社会民主党が最適解であるが、社会民主党が歴史的敗北を喫した主因がCDU/CSUとの大連立にあったとの見解が一般的であるため、社会民主党が連立に加わることは現状ではあり得ない。

 その一方、安定した連立政権樹立には、与党の政策距離が近接或いは政策位置が連続している必要があるとする連立政権形成理論がある 。したがって、社会民主党を飛ばして緑の党を連立与党に加える「ジャマイカ連立」は連立政権の安定度に黄信号が灯るという結論になる。

 この結果、「ジャマイカ連立」の交渉が難航し、緑の党が連立に加わらない(或いは緑の党が閣外協力に転じる)CDU/CSU-自由民主党という少数連立政権の選択(これでも、社会民主党、緑の党、左翼党という「左派系」3政党の議席数の合計を上回る)の可能性も否定できない。

 更には、連立交渉難航の末、「三顧の礼」をもって社会民主党を連立与党にする大連立の復活もあり得ない話ではない 。この場合の前提は、緑の党との連立交渉が決裂することが前提である。過去において、CDU/CSU及び社会民主党双方との連立経験がある自由民主党が連立与党に留まるかは流動的である。

 AfD躍進の陰に隠れているが、連立政権となるメルケル政権の安定度にとっては、社会民主党の大敗、自由民主党の復活という「穏やかな右傾化」の影響の方が大きくなっている。


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