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いまさらながら「天皇論」を読んでみた
70
:
キラーカーン
:2010/09/29(水) 02:20:46
では、小林氏の「なぜ、わざわざ、男系ノ男子」と書いたのかという質問自体が間違っているのかといえば、そうではありません。小林氏の批判は一般論としては正しいです。その根拠は旧皇室典範第二条と明治憲法第二条にあります。そのために、上では、旧皇室典範の第一条と第二条を並べました。皇室典範の第二条は
皇位ハ皇長子
となっています。これは、旧皇室典範第一条で、皇位を継承するのは男系男子と限っているので、「皇長子」と書いても、皇女が含まれる可能性はない(因みに、昭和天皇の「皇長子」は内親王(皇女)です)からです。小林氏はこれとの類推で「皇統ニシテ男系ノ男子」とある条文を見て「皇統には男系と女系双方を含むのでわざわざ“男系”という言葉を入れた」と「早合点」したと思います。実を言えば、この条文だけでは、嫡出子と庶子との区別がつかないので、別の条文で規定されているのですが、この文の進行には影響ないので省略します。因みに、昭和二十二年に現行皇室典範が施行されるまで、庶子にも皇位継承権がありましたので、制度上は、現行皇室典範の施行に伴って側室制度が廃止されたということとなります。
小林氏の批判が「一般論」として妥当する傍証として、明治憲法第二条を挙げます。今度は、旧皇室典範第一条と明治憲法第二条とを併記します
第一条 大日本国皇位ハ祖宗ノ皇統ニシテ男系ノ男子之ヲ継承ス
第二条 皇位ハ皇室典範ノ定ムル所ニ依リ皇男子孫之ヲ継承ス
『皇室典範義解』と同様に明治憲法の準公式解説書である『憲法義解』では
皇男子孫とは、祖宗の皇統における男系の男子をいう。この文は皇室典範の第一条と同等である。
となっています。
明治憲法第二条では「皇統」という語が出てきませんので、「皇男子孫」という語を使っています。ここでも、小林氏の批判が一般論ではもっともであるということを示しています。
とつらつら書いてきましたが、もうひとつ、小林氏の「誤解」がもっともである理由があります。それは、「皇統」という用語に「男系と女系双方を包含」した用法があるということです。例を挙げれば
『皇室典範に関する有識者会議報告書』 「『皇統』とは歴代の天皇からつながる血統」
『天平の三姉妹』(遠山美都男著 中公新書) 「聖武天皇の皇統」
(聖武天皇の皇統という場合、それは『天平の三姉妹』を通じた「女系」でしかありえないので、ここでいう「皇統」は女系を含むとしなければならない)
というものがあります。また、伊藤博文の『憲法義解』などを読んでも「皇統」が男系のみか、男系女系双方を含むのかのどちらの意味か判然としない箇所もあります。例えば上述の『憲法義解』における明治憲法第二条の注釈
皇男子孫とは、祖宗の皇統における男系の男子をいう。この文は皇室典範の第一条と同等である。
というで部分です。この文の趣旨は、旧皇室典範第一条と同じといっておきながら、「祖宗の皇統における男系の男子」と表現をしており、「皇統」には男系だけではなく女系も含まれると解釈しても意味が通る表現となっています。しかし、上述のように、旧皇室典範の解説で「皇統は男系に限る」としていますので、そのあたりは若干の不整合を生じています。
ということで、小林氏が「皇統」を女系を含む概念だと解釈しても、それは間違いではありません。問題は、そのような「一般的な意味」を法令用語にまで適用できるかということです。現代でも、法令用語は世間で一般的な意味と一致しない意味で使用されている場合があります(例:「みなす」と「推定する」)。ということで、小林氏が、皇統は一般的な用法では女系を含むと主張するのは間違いではありません、しかし、旧皇室典範第一条の「皇統」は女系を含むというのは「行き過ぎた解釈」だろうと思います。
(だとすると、現行皇室典範第一条を起案した人はどういう解釈でああいう条文にしたのか、個人的に気になります。もし、単純に文語体を口語体に直しただけだというのなら、小林氏と同じ解釈をしたということになります。)
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