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いまさらながら「天皇論」を読んでみた

69キラーカーン:2010/09/29(水) 02:19:21
補論1 皇統とは男系のみを指すのか(旧皇室典範との関係)

 皇統とは男系のみを指すのか、女系を含むのかということも議題になっているようですが、結論から言えば

1 旧皇室典範の条文上は「男系」のみを指す
2 一般的な用法では男系、女系「双方」を指す用法もある

ということで、双方とも正解ですというより「間違っていない」という方がより正確でしょうか。
 では、まず、旧皇室典範の条文ですが

 第一条 大日本国皇位ハ祖宗ノ皇統ニシテ男系ノ男子之ヲ継承ス
 第二条 皇位ハ皇長子ニ伝フ

とあります。それでは、この条文の準公式解説書である『皇室典範義解』にはどのように書いているかといえば(該当部分抜粋)

皇統は男系に限り女系の所出に及ばざるは皇家の成法なり。
祖宗の皇統とは一系の正統を承くる皇胤を謂う
一 皇祚を践むは皇胤に限る
二 皇祚を践むは男系に限る

とあり、皇統は男系に限るとしています(ということで、皇位に就くことを「践祚」といいます)。
 なぜ、『皇室典範義解』が「準公式」解説書かといえば、皇室典範制定の際、この解説書の解釈に合意をしているからです。つまり、立法者の意思がそこに示されているということで「公式」解釈としてよいということ。そして、この義解は伊藤博文個人の著作として出版されており、政府名義で出版されていないことから、「純然たる公式」ではないということ。この二つの理由から本書が「準公式」解説書といわれる次第です(『憲法義解』も同様です)。
 この解説から見れば、旧皇室典範では「皇統」は「男系」に限定していると解釈せざるを得ません。
 では、小林氏の批判点である

皇統が男系に限るというのであれば、なぜ、旧皇室典範のような書き振りになっているのか

ということの解説に入ります。この条文解釈の要点は「ニシテ」という言葉です。
 実は、私もこの条文を読み返してみて、小林氏の解釈に疑問を持ちました。というのは、この条文は、「ニシテ」で一旦切れる事実上二つの文が合わさったものと解釈する方がより妥当であると思われるからです。つまり

前段:大日本国皇位ハ祖宗ノ皇統(皇位は皇統である)
後段:(大日本国皇位ハ)男系ノ男子之ヲ継承ス(皇位は男系男子が継承する)

というものです。『皇室典範義解』も

一 皇祚を践むは皇胤に限る
二 皇祚を践むは男系に限る

と、上記の前段、後段に分けるのと同様の解説をしているからです。
もし、小林氏の解釈が正しいとすれば

 第一条 大日本国皇位ハ祖宗ノ皇統 「ニ属スル」 男系ノ男子之ヲ継承ス
(実は、「皇統に属する男系の男子」というのは現行皇室典範の条文ですので、参考までに現行皇室典範の条文を併記します)
 第一条  皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。
(単純に旧皇室典範を口語体に直せば以下のようになると思われます)
 第一条 大日本国皇位は祖宗の皇統であり、男系の男子がこれを継承する

というような条文になると思います。
 この意味において、小林氏の旧皇室典範第一条の解釈は「正統的ではない」といえます。少なくとも、条文起草者の意思とは異なっています。ということで、現行皇室典範では「皇統」は男系女系双方を含む概念であると解せざるを得ません。これも、小林氏の「誤解」の元になったと思われます。


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