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いまさらながら「天皇論」を読んでみた
60
:
キラーカーン
:2010/09/27(月) 23:38:52
世襲原理の一般論からいって、その他の条件が同じ場合、女帝の息子(あるいは皇后の息子)は皇位継承争いにおいて圧倒的優位に立ちます。従って、女帝の子が皇位継承権を保持したままでは、皇位継承者決定の先送りが先送りにならない(女帝の即位時点で後継者が事実上決定してしまい、後継者決定の先送りにならない。例:持統天皇の即位)というパラドックスに陥ってしまいます。つまり、女帝が擁立される政治情勢と女帝の子が皇位継承を行うという女系継承というのは相容れないということです。
ここで、いかにして第一期中継ぎ期において「中継ぎ」女帝がどのように譲位を行い、その使命を全うしたかについて概観するために、時代を皇極天皇即位当時に戻して見ましょう。
舒明天皇が崩御した際、皇位継承候補者としては
・ 山背大兄王(推古天皇崩御後、舒明天皇とともに皇位継承候補者として名前が挙がった人物であり、年齢経験は申し分ないが、血縁関係が希薄(舒明天皇の又従兄弟))
・ 古人大兄皇子(舒明天皇の長子で母は蘇我氏であり、蘇我氏の支援が得られる)
・ 中大兄皇子(母は皇后であり、出自は一番有利。しかし蘇我氏との関係が薄い)
という3人がおり、一長一短でした。
崩御した舒明天皇との血縁からいえば、舒明天皇の皇子である古人大兄皇子と中大兄皇子という二人の皇子ということになりますが、いまだに年齢が若く、即位には時期尚早(摂関政治が行なわれる以前では、天皇自身に統治者に相応しい能力が求められるため、成人後一定の政治的経験を積まなければ皇位継承者にはなれない。したがって、即位するにはある程度の年齢に達している必要がある)と見られていました。このため、古代においては、兄弟間相続が多く見られます。
しかし、この場合、舒明天皇の兄弟はおらず、同世代の皇位継承者候補は山背大兄王となってしまう。しかし、山背大兄王は舒明天皇とは又従兄弟の関係であり血縁関係は薄く、かつ、推古天皇崩御後の舒明天皇との皇位継承争いに負けており、有力な皇位継承候補者ではありますが、衆目の一致する皇位継承候補者というわけには行きませんでした(客観的情勢としては舒明天皇と皇位を争ったときより山背大兄王を巡る情勢は悪化していたと思われます)。このため、舒明の皇后が皇極天皇として即位し、皇位継承者問題を棚上げ、先送りということにしました。
上述の「女帝の子は皇位に就けない」という仮説に拠れば、皇極天皇が即位した時点で、「女帝の子」となった中大兄皇子は皇位継承争いから脱落したということになります。その代わりとなるかのように、皇極天皇即位に伴って、その弟(後の孝徳天皇。以後「孝徳天皇」で呼び名を統一)が「天皇の甥」から「天皇の弟」という地位に昇格し皇位継承争いに割って入りました。しかし、即位時点の事情から言えば、山背大兄王か古人大兄皇子(あるいは中大兄皇子)かということであり、孝徳天皇はあくまでの、その次の順位の候補者という程度でした。
ここから皇極女帝が即位した唯一最大の理由を全うするため「皇位継承サバイバルレース」が開幕しました。まず、ふるい落とされたのは山背大兄王でした。彼は古人大兄皇子(、中大兄皇子)、孝徳天皇の共通の敵であり、さらに、この時点では蘇我本宗家にとっても「邪魔者」になっていました。山背大兄王は蘇我氏との血縁関係が比較的深い皇位継承候補者でしたが、この時点で、蘇我本宗家が推す候補は古人大兄皇子でした。これにより、古人大兄皇子が皇位継承争いのトップに躍り出ました。このまま古人大兄皇子が成人すれば、皇位は皇極天皇から古人大兄皇子へと「譲位」される見込みが極めて高くなりました。そうなれば、孝徳天皇(女帝の弟)、中大兄皇子(女帝の子)も皇位を継げずに終わってしまいます。
ここで、孝徳天皇と中大兄皇子の利害が
1 蘇我本宗家排除による古人大兄皇子の皇位継承争いからの排除
2 「クーデター」による皇極天皇から孝徳天皇への「譲位」の実現
3 中大兄皇子は「女帝の子」という傷を治癒させ皇位継承権を回復する
4 孝徳天皇の後継者(皇太子)を中大兄皇子とする
ということで一致したと考えられます。
しかし、ここで動かなければならなかったのは中大兄皇子ではなく、年齢的なものや本来的な皇位継承順位が低い孝徳天皇のほうだったと思います(時間が経てば経つほど、後継者として、舒明天皇の皇子が有力になり、世代から言って、舒明天皇の「(義理の)弟」である孝徳天皇は不利に追い込まれる)。このため、私は大化の改新(乙巳の変)の首謀者は孝徳天皇であるという遠山美都男氏の説に魅力を感じています。
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