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いまさらながら「天皇論」を読んでみた
53
:
キラーカーン
:2010/09/19(日) 02:34:48
ただし、これら3つにはっきりと分かれるのではなく、一部重なりながら、徐々に移行していくというイメージです。記録(記憶モード)によれば、皇極天皇(斉明天皇)は雨乞いを行なったという記録もあったようで、巫女王という性質も残っていました。
また、皇后(当時において「皇后」とは呼ばれてはいなかった(おそらく「キサキ」と呼ばれていた)とは思いますが、便宜上「皇后」に統一)は、夫である天皇と皇権を共同して行使していたとの説もあります。これが、古代において、皇后が皇族でなければならなかった実際上の理由(皇権を行使するものは皇族に限る)だったと思われます(皇族以外の皇后は聖武天皇の皇后である光明皇后をもって嚆矢とします)。
これらのことから、皇后あるいは皇太子妃の前歴を持つ推古、皇極(斉明)、持統、元明の各女帝は決して、「一段低い」中継ぎの天皇ではない。皇位に登極下からには、他の天皇とは全く変わらない「普通」の天皇であるという小林氏の所論は一定の説得力を持ちます。つまり、「中継ぎ」は「中継ぎ」であったとしても、後継者に皇位を譲るまでは安心して皇位を委ね皇権を行使できる人物、現代で言えば、セットアッパー、あるいはクローザーという勝ち試合の終盤の1イニングを確実に抑えることのできるという、前投手陣の中でも信頼度は随一というという人物といえるでしょう。そして、そのような現代野球の当主分業制の「(第二)革命」の代名詞として、かつて阪神タイガースの誇る「トリプルストッパー」である「JFK」に相当する存在が、これらの女帝(特に斉明天皇以後の女帝)であるといえます。
そして、その彼女ら(女帝)が中継ぎであることを正当化する当時の皇位継承法が「不改常典」と言われたものです。これは、その名前だけが伝わっていて、内容(条文)は不明なのですが、この名前が引用される文脈から判断して、「皇位の直系継承原則」を規定したものと思われます。また、具体的には、
皇位は天武天皇と持統天皇の子孫(草壁皇子の系統)に伝えられる
ということを意味しました。
つまり、井沢元彦氏の著作などで有名になった「天武系皇統」は、実は、「草壁系皇統」(+藤原氏の女性が産んだ皇子)という意味だったのです。歴代の天皇を挙げて具体的に言えば
天武−草壁−文武−聖武−孝謙(称徳)
の系統に「のみ」皇位は継承されるということになります。それ以外の系統の皇族が皇位を継ぐ場合は(天武系であっても)この草壁系の皇子への「中継ぎ」ということを意味しました。実在の天皇で言えば淳仁天皇がこれにあたります。また、聖武天皇が遺言で皇太子に指名した道祖王もこの「中継ぎ」に該当し、更には、遠山美都男氏の「天平の三姉妹」(中公新書)によれば、光仁天皇も該当します。
この「天平の三姉妹」は、聖武天皇の子どもの代で草壁系の男系が断絶することが確定した時代において、この「不改常典」と皇位継承をどのように両立させるかという重い命題とその命題の解決を委ねられた(否応なく背負わされた)聖武天皇の三人の皇女の生涯を物語仕立てでまとめた意欲作です。この三姉妹が直面した問題は、まさに、現在(少なくとも悠仁親王が生まれるまで)の皇室が直面している問題でもあるわけで、その意味では現代皇室に通ずるものがあります。
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