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国籍法改正問題

3キラーカーン:2008/11/22(土) 01:38:44
 最高裁判決で国籍法第三条が憲法違反であるということを受けて、法務省は国籍法の改正案を作成して、現時点では衆議院を通過したところです。改正案としては、国籍法の血統主義を変更しない限り、(嫡出子、被嫡出子を問わず)「両親のいずれか(又は両方)が日本国民であることが推定、証明される場合」にはその子には日本国籍を与えるという方向性しかありません。ということで、国籍法が「父親の認知」のみを条件とするのは最高裁判決との関係上仕方がないでしょう。(民法や戸籍法上「母親の認知」もあり得るという学説もありますが、母子関係は出生とともに確定するので、別途、母親の認知は必要ない、というのが実務上の扱いです)

 今般の国籍法改正に際して、法務省当局はDNA鑑定を必要条件を明記することに「法の下の平等」を理由として一貫して難色を示していましたが、それは推測するに次のようなことだと思います。

 少し前に「無戸籍児」と言うことが話題になっていましたが、この問題は、現在結婚している(戸籍上ある男性の妻である)女性、あるいは、離婚して300日未満の女性が子どもを出産した場合、その子どもは戸籍上の夫、あるいは(離婚して300日未満の場合)前の夫との間の子ども(嫡出子)であると推定するという「嫡出推定」規定に起因します。
 事実上夫婦生活が破綻しているのにもかかわらず、どちらかが離婚届に判を押さないため、法律上は夫婦であると言う男女が増えています。そのような状態で、女性が「戸籍上の夫『ではない』男性」の子どもを出産した場合、その子どもは民法上「戸籍上の夫」との間の子どもと推定されます。これは、法律学上の「推定」規定ですので、戸籍上の夫以外の男性が実の父親であるという確固たる証拠があればこの推定は覆すことができます。(ちなみに、「みなす」とあれば、証拠を突きつけてもその法的事実を覆すことはできません。)
 現在の法制度では、その推定を覆すには「嫡出否認の訴」と言うものを家庭裁判所に提起して、戸籍上の夫が実の父親ではないと言う判決を勝ち取る必要があります。逆に言えば、DNA鑑定結果を突きつけても、戸籍上の夫が父親であると言う推定は覆りません。そのDNA鑑定結果を証拠として、嫡出否認の訴を提起して判決を勝ち取らなければならないと言うことになります。

 もし、国籍法上、DNA鑑定結果を添えて認知の届出が認められると言うことになれば、いわゆる「無戸籍児」についても判決ではなく、DNA鑑定結果だけで嫡出推定を否定する制度にすべきと言う声には抵抗できないでしょう。そうなれば、法務省当局としては余計な仕事を抱え込むと言うことになりますので、現段階でDNA鑑定結果を国籍法上の認知に義務付けるわけには行かないということになるのでしょう。


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