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床屋政談

12キラーカーン:2008/11/12(水) 00:34:14
床屋政談(政治的任用と政治的中立)

田母神前航空幕僚長の「論文」問題で民主党から「統合幕僚長、陸自幕僚長、海上幕僚長、航空幕僚長の4名は国会承認人事にすべき」という提案がなされていますが、この問題は「表面的」には自衛隊法上の「政治的中立」を保つ義務というところから発している以上、その「政治的中立」といわゆる「政治的任用」との間に横たわる問題を解決する必要があります。

日本における公務員の「政治的中立」というものの淵源は第二次山県内閣における文官任用令の改正にまでさかのぼります。
 最初の政党内閣といわれる第一次大隈内閣で、勅任官といわれる高級官僚(本省の局長級以上)の官職が猟官運動あるいは論功行賞の結果として解放され、政党幹部がその地位(のすべてではないですが)につきました。その反動として、その後を襲った第二次山県内閣において、勅任官の任用資格についても一定の試験(高文試験)の合格者に限定したことが、近代日本における官僚(公務員)の政治的中立義務というものの淵源だと思います。

 当時は明治憲法の時代でしたので、その時代の「政治的中立」とは、「政党」などの一党一派に偏らず「天皇の官吏」としてそれらの政治勢力から「超然」とした(中立的な)行政を行うべきという意味でした。
 いわゆる「超然内閣」の「超然」もこの意味です。この場合、「政治的中立」義務は首相以下各大臣までにも及ぶこととなります。議院内閣制が規定された日本国憲法の時代においては、このような意味での政治的中立は最早存在し得ません。各省庁の上司である大臣、副大臣、政務官は基本的に政党員であり、法律上もこれらの官職を占める人には「政治的中立」を保つ義務はありません。従って、大臣の政策がその所属政党に偏った政策であっても(政党政治ではそれがある意味当然なのですが)、公務員は、上司の業務命令には従う義務がありますので、その指示に従わざるを得ません。そして、その「政治主導」により、選挙で示された国民の意思が公務員を縛るという「民主的統制」行うのが現在の政治体制では正しい(あるべき)姿とされています。

 民主党は、政権を取ったあかつきには、各所長の局長級以上の公務員に対し、内閣の方針に従うのか否かの「踏み絵」を踏ませるという案もあります。そして、民主党の方針に従わない局長級以上の幹部は退職あるいは休職ということになります。これは、第一次大熊内閣に限らず、戦前の政党内閣がとった手法です。
 日本国憲法の時代においては、そのような公務員人事への「露骨」な政治介入はこうむいんの「中立性」を侵すものとして否定的にとられていました。

 したがって、公務員の「政治的中立」と「政治的任用」との間には一定の緊張関係があります。漫然としていては、「政治的中立」と「政治的任用」との間の陥穽にはまり込んでしまうことになります。公務員に対して、時の政権の政策に賛成するか否かの「踏み絵」を踏ませることは、一般論として「政治的中立」からは遠ざかります。もちろん、「何色にでも染まる」という意味で「中立」ということも言えますが、おそらく、それは、公務員の政治的中立といった場合の多数説ではないような気がします。


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