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刑事弁護の危機と医療の危機
32
:
キラーカーン
:2009/02/16(月) 21:37:21
その一方で「刑事裁判の機能は社会秩序の維持であり、被害者感情の慰藉については反射的効果に過ぎない」というような最高裁判所の裁判例もあり、その観点からすれば、刑事裁判において犯罪被害者の意見は聞くべきではなく、これまでのように被害者を「疎外」しておくべきという結論になります。しかしながら、上述のように、この方針は現実問題として採り得ず、犯罪被害者保護基本法の制定など、現実の刑事政策の方向性を踏まえれば「反射的効果に過ぎない」の部分については、この裁判例は、現時点においては判例法として機能しなくなったといっても良いでしょう。現実には、「刑事裁判は被害者感情にも配慮しなければ社会秩序の維持という機能を果たせられない」ということになっていると思います。
したがって、この裁判例の趣旨に忠実であった(と思われる)光市の事件の弁護団とその支持者は、刑事裁判は被害者にも相応の配慮を払うべしという現在の刑事司法の流れ、あるいは、社会の刑事裁判(あるいは刑事司法)に対するニーズに反しているという意味で社会的に大きな反発を受けることはこれまた理の当然だったわけです。
では、どうすればよいのか。個人的には、これまでの役割分担を変えない方が混乱が少ないと思われますから、検察官と被告人(弁護人)の役割分担を変えずに、被害者固有の事情について被害者が刑事裁判において主体的な地位を占めるということになるでしょう。また、被害者固有の事情は被害者自身(あるいはその代理人)に代弁させたほうが良いと思いますので、その観点からも、検察官はこれまでどおり「公益」の名を以って被告人を糾弾するということになるかと思います。
つまり、検察官が主張すべき「処罰感情」というのは「世間」または「社会」の処罰感情の相場であって、被害者が主張するそれであってはいけないと個人的には考えています。そのような情勢においても、「自分が被害者になったら」や「被害者への感情移入」等々により、被害者感情が被害者固有のものから世間・社会に共有されます。その「共有された被害者感情」を無視して判決を下すのであれば、社会秩序の維持という刑事裁判の最も重要な目的も果たせなくなってしまいます。
したがって、被害者固有の感情から世間・社会として共有される「被害者感情」として昇華させる作業を経てから検察官が「処罰感情」や「被害者感情」を「公益」として主張できるものと考えます。したがって、被害者が懲役20年を望んでも、世間の相場が懲役10年から15年であれば、その範囲でしか判決は下されないでしょうし、そのような差異が生ずることは受任せざるを得ないでしょう。
それであっても、被害者を蚊帳の外において下した判決と被害者を被害者としてバーの中に入れて被害者の話を聴いた上で下した判決とでは、被害者にとっての意味が違ってくるでしょう。それだけでも「疎外感」は格段に緩和されるはずです。更に、上述の「ずれ」を被害者がどのようにして埋めるのかといえば、それこそ「修復的司法」の出番ではないかと思う訳です。
だからといって、その疎外感を刑事裁判外で埋める適当な方法があれば、そのような方策も考えられるのではないかとは思います。例えば、被告人の弁論に対して被害者として反論したいというのであれば、刑事裁判の場ではなく、裁判官が被害者への質問という形で、別途被害者の言い分をくみ上げるという方法もあるでしょうし、あくまで、被告人と被害者との間の「個人的事情」として、刑事裁判の場にこだわることなく、別途対峙する場が設定しても良いのかもしれません。
よく言われているのは修復的司法的手法で用いられている各種手法ですが、そのほかに、例えば、刑事裁判には参加させないが、犯人の釈放又は執行猶予期間の満了の判断について、被害者の承諾を得なければならないというような形で、被害者に事実上量刑と執行猶予期間の微修正権を与えるという方法もあるかもしれません。あるいは、懲役の仕事を大きく変えて、現在派遣労働者が行っている業務をやらせて、その賃金(派遣労働者の給与相当額)を被害者への賠償に充てるという方法もあるかもしれません。
法律というものは情と理の微妙なバランスに立っています。情に傾いても、理に傾いてもその法律は空文と化します。また、「法律は最低の道徳」という言葉からも、法律には人として守らなければならない最低限の「善」あるいは「情」というものが含まれていると信じています。だからこそ「大岡裁き」というものが光を放つものだと思っています。
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