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刑事弁護の危機と医療の危機

22キラーカーン:2008/10/03(金) 23:59:43
これまでの議論を眺めて思うことは、一般民衆が刑事裁判に期待している機能・目的と実際の刑事裁判の機能・目的の「ずれ」が看過できないところまで大きくなっている(といいますか、社会による「ずれ」の肩代わりが不可能になりつつあるという実態が明らかになった)というのが問題の本質でしょう。(一般民衆の期待と実際の刑事裁判の機能・目的のどちらを基準とすべきかということについては、問題の立て方によって変わります。社会構造・機能の観点から言えば前者、法律学の観点で言えば後者)

 したがって、そもそも「刑事裁判、刑事弁護とはこういうものである」という説明を行うことは、問題解決のための必要条件であっても、十分条件ではありません。現状における刑事裁判の機能・目的を説明することは、一般国民に上述の「ずれ」を正確に認識させるにとどまり、問題解決の処方箋にはなりえません。問題の解決を目指すのであれば、刑事裁判とは何かを一般民衆に説明し、その「ずれ」を一般民衆に正確に認識させた上で、その「ずれ」を「どのようにして埋めるのか」という方策を示さなければならないからです。

 ここにおいて、懲戒請求を受けた弁護士擁護論と被害者保護について弁護士が何らかの見解を語らなければならない(=「ずれ」を「どのようにして埋めるのか」)ということは、この一件に関して、密接不可分のものとなったのです。後述のように、「弁護士が答えなければならないいわれはない」や「この件については、どう足掻いても、法律と人情の差を埋めることは不可能」という抗弁も可能でしょうが、この点から逃げている限り、「現状逃避」という批判は弁護士に向けられることになるでしょうし、何かのきっかけで、第2、第3の「懲戒請求祭り」が生起するでしょう。その場合は、弁護士個人ではなく、弁護士全体に対する不満のうねりとなるかもしれません。現状では、そうなっても弁護士の自業自得としか言い様がないと思います

 弁護士は、刑事裁判とは何かを説明すれば「ずれ」は埋まると思っているのかもしれませんが(法律学の枠内であればそのとおりですが)、一般民衆はそうではありません(人は法律学のみで生きるにあらず)。現実を「正しく」認識することによって、真の問題点(=被害者保護機能の欠落)を把握し、それを(意識的にせよ無意識的にせよ)解決すべき問題点として把握してしまったのです。
 この「ずれ」を埋めることができなければ(あるいは「真の問題点」の解決ができなければ)、一般民衆の刑事裁判に対する信頼は地に墜ち、「刑事弁護の崩壊」どころではなく、「刑事裁判の崩壊」あるいは「刑事司法の崩壊」というところまで行き着く可能性があります。
 何が、「ずれ」(解決すべき「真の問題点」)かといえば

・ 一般民衆は刑事裁判は「事実の解明」がまず最初の目的としてあり、
 それは犯罪被害者のためでもあると思っている。
(それによって、刑罰が課され、犯罪被害者にも何が起こったか理解できる)
・ 専門家は刑事裁判では「犯罪被害者は存在しない」としている
(刑事裁判は刑罰を課すにたる事実があるか否かを判断するだけで、
 犯罪被害者のことは全く考えていない。「犯罪被害者は証人に過ぎない」)

という見解の差異を可能な限り失くした上で、それに応じた刑事司法、就中、被害者保護の体制をどう構築するのかということに尽きると思います(刑事裁判も現代日本社会も犯罪被害者保護機能が欠落しており、その受け皿がなく、その受け皿の構築が焦眉の急であること)。


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