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刑事弁護の危機と医療の危機

21キラーカーン:2008/09/27(土) 00:44:14
 話を刑事裁判に戻します。
「刑事弁護は本質的に反権力的活動」であるとの命題は間違いです。正確には

真実の発見・確定と被告人の利益(≒被告人の刑の軽減)の両立

が(少なくとも日本における)刑事弁護の本質です(参考:刑事訴訟法)。どのようにしてこの両者を両立するのかという問題はとりあえず脇においておきます。
それでも、強引に「反権力」ということを前面に出すとして、「刑事弁護」の性質を言うなら

「検察対被告人」という二当事者対立構造の刑事裁判の刑事弁護活動において「のみ」弁護人に反権力的活動という役割が与えられる

ということになるでしょうか。同じ当事者主義であっても、検察、被告人、犯罪被害者の三当事者対立構造であれば、刑事弁護活動の本質が「反権力」ということにはなりません(被告人vs犯罪被害者は「反権力」という構図になりえない)。更に言えば、刑事裁判のもうひとつの型である職権主義では、基本的に(理論上)、被告人vs犯罪被害者は「反権力」という構図になりえません。
 つまり、刑事弁護という領域内であっても、二当事者対立構造というごく限られた領域でしか成立しない(それでも、別の立論は可能。参考:「反権力モデルから口頭試問モデルへ」という過去の私の投稿)

刑事弁護は本質的に反権力的活動

というドグマを刑事弁護全体に拡大させ、あまつさえ「在野法曹」という名目で弁護士活動全般に拡大させる(法テラスへの協力問題)という所業はまさに

手段(「反権力的」であること)と目的(被告人の弁護)の転倒(逆転)

としか表現できないものです。言い換えれば「反権力イデオロギー」の自己目的化です。
 エッジ氏が、法テラスに弁護士が参加出来ない理由を色々述べていましたが、それは瑣末なものです。根本的な問題は「反権力イデオロギー」と法テラスへの協力が両立するのかということです。関東弁護士連合会の決議では、わざわざ

管内弁護士会においては,法テラスの理念そのものに対する疑念(中略)という2つの問 題点を解決する必要があった。
 第1の点については,法テラスが法務省の管轄下にある司法サービスの提供組織である限り,国民の立場に立った真の基本的人権の守り手たる組織とはなり得えないのではないかとの危惧が持たれたことである。
 例えば,刑事弁護活動は,本質的に反権力的活動であって,国家権力と対峙すべき弁護士の活動と,国費によって運営され,法務省の監督を受ける法テラスという組織とは,本質的になじまないのではないかという疑念である。

という「根本的な」疑問が関東弁護士連合会傘下の単位弁護士会から出されたこと。そして、それに対する関東弁護士連合会としての回答を決議の「提案理由」としていの一番に明記し、エッジ氏の主張する「理由」について、第二の問題点として包括的にしか触れられていません。理論的に考えても、第一の問題点が解決しない限り、第二の問題点の議論を行う実益はないのは明らかであるのですから。

 そして、反権力的な活動は、二当事者対立主義における現行法の「刑事弁護」に限られるのですから、裁判所外において反権力的で「ない」活動を行うことは何ら問題がないはずです。かつて、私の投稿に対して「国策弁護」云々という反論をしてきた人がいましたが、その人の反論は結局

(究極の場合において)被告人の弁護よりも「反権力イデオロギー」を優先させる

ということを意味するのです。というか、という反論必然的に惹起してしまうのです。(という私の反論に対して予想される再反論は想定できますが、その再反論に対する対案は一応用意してありました)


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