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行政法総論 猪股限定!

84七枝四雄さん:2006/07/24(月) 04:06:00
これまでの行政法学では、行政に関する法を公法と私法の二つに大別して考えられてきた。つまり、それがたとえ行政法に関する法であっても、民事法と共通の法原理に即した法を私法とし、また行政法に関する特殊固有な性質を持つ法を公法としたのである。そして行政法を「行政に関する国内公法である」と定義し、私法はその定義から除外された。なぜなら、かつては行政作用の特質について、国家が統治権の主体として優越的な立場から国民に命令強制するものであるとされ、対等間の利害関係の調整を目的とする私法はこれにそぐわないからである。これについては田中二郎博士も同様の説を唱えている。こういった考え方を公法私法二元論という。
これによると、公法と私法を区分することで、裁判手続きに関して民事訴訟法の他に行政訴訟法が存在し、訴訟システムが二分されるため、公法と私法を区別することに実益があるとされる。また、公法と私法との間には、実体法上の解釈原理に違いがあるとされ、これも重要な論拠とされた。
しかし、かつては国民に優越した存在と考えられた行政権も、民主主義に立脚する現行の憲法のもとでは行政権は国民代表議会において国民の信託の下に制定された法律が許す範囲内でのみその権力を保持するものであるため、行政権が国民に対し優越した地位に立つとは考えられない。また、行政法上の経済関係における伝来的公法関係や私経済関係についての私法関係との境界が不明確であることも二元論における欠点といえる。
ゆえに、実定法全体を公法と私法に区別しようとする試みは現在ではほとんど実益を持たないように思われる。ある法律関係についてそれが私法的なものか公法的なものかを検討する場合はあるが、それは法律関係を分析し把握するための1つの視点に過ぎないのである。現在の判例のほとんどが公法私法二元論を放棄していることからもそれは明らかである。




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