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行政法総論 猪股限定!

55七枝四雄さん:2006/07/23(日) 19:46:27
法律の留保とは、現在ある法律の定めに違反しないものであるのみならず、さらにそれを行う事を認める法律上の根拠(すなわち法律の授権)がなければ、行政活動を行う事はできないとする原則であり、行政の原理の内容の一つであり、行政作用法の根拠に関する議論である。

ただしこの法律の留保に関しては行政活動のどの範囲までをこの適用範囲として認めるか、という部分で学説の対立が存在している。現在主に三つの学説が対立している。

まず従来からの通説の侵害留保説というのは国民の権利自由を権力的に侵害する行政についてのみ法律の授権を要する、とするものである。これは行政作用とは本来自由に独自の責任と判断で行う自立作用だが、国民の権利や自由まで抑制する行政活動は認められないという考えから、国民の権利自由を保護するために、権力的に国民の権利自由を制限したり侵害したりする行為のみについて、法律で留保されるとしているものである。
但し、この説には法律の授権を必要とする範囲が狭くなりすぎる、行政活動は国民の意思にそって行われるべきであるがその視点が欠如している、等の批判がある。

それに対して存在するのが全部留保説である。全部留保説とは、国民の権利義務に関する行政活動については必ず法律の授権が必要となる、とするものである。これは侵害留保説は国民の意思を反映した行政活動についての視点を欠如している、という批判を取り入れたものである。
しかしこの説は逆に法律の授権を必要とする範囲が広すぎるので現実的でない。行政の活動が過度に制約されて硬直化するので、臨機応変に需要の変化に対応できないなどの批判がある。

そこでまた登場するのが権力留保説である。権力留保説は行政活動のうち権力的作用については法律の授権を必要とするというものである。
全て行政の根拠は法律に求められるため、行政府には当然国民に優越するような固有の権利は存在しない。したがって、国民の権利自由を抑圧したり法律関係を決定して強要するためには、必ずその公権力の発動のために法律の授権が必要となるというものである。

以上で、主な論説を説明したわけであるが、通説が侵害留保説だからといって侵害行為のみに法律の授権必要とすると説明する学説は現在殆ど存在しない。実務においては侵害行為以外でも法律の授権を受けておこなっているように、福祉主義を採用する現代の法治主義国家において侵害留保説そのものでは不足であるという見解が一致している。
実際にはいずれの学説を採るかで機械的に結論が導き出されるわけではなく、侵害行為については法律の授権が必要であるというのを最低限として、法律の授権による民主的な行政活動の要請と福祉主義に基づいた行政活動の調和を図るという観点から、個別に判断するというのが現在の流れとなっているのである




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