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科学と疑似科学とを判別する

315Ken:2019/03/16(土) 22:59:18 ID:APgjG24U
それでは>>307で挙げられた例題についての感想です。ペストの話を例に取り上げます。

理論C「ペスト病の人は沼の瘴気に当っていた」

から

理論B「沼の瘴気に当たればペスト病になる」

が導けるというのは誤りである。それはそうでしょう。Cは、ペスト病の人は瘴気に当たった人の部分集合といっているのだから、瘴気に当たってもペストにならない人はいるわけです。それゆえ理論Bの検証はできていないと結論し、それでこの話は終わりになります。


ただ、もしも今の私たちが科学的探究や科学教育のあるべき姿を論じているのなら、私から言い添えたいことがあります。理論CからBを証明はできませんが、少なくともBを強く示唆するのは確かです。

現実問題として、もし多くのペスト患者が沼の瘴気に当たっていたという事実が知れたら、瘴気でペストにならない例があるとしても、やはり圧倒的多数の人は沼に近づかないようにするでしょう。また、ペストの原因を探す研究者は、探索対象を瘴気を出す沼に集中させるに違いありません。そのとき理論B「沼の瘴気に当たればペスト病になる」には根拠がないという理由で、彼等の行動に合理性がないと批判する人はいないはずです。

瘴気の影響を調べ、とりわけペストに罹る人と罹らない人それぞれの共通点を探した結果、罹った人はP菌に感染していたという共通点があれば、ペストを起こすのは瘴気ではなくP菌であることが分かります。しかしこれは「瘴気」が誤った理論で「P菌」が正しい理論というよりも、原因の探索領域が絞り込まれただけで、探索はまだ続くはずなのです。

次の段階として「なぜP菌が病を起こすのか」を探求することで、P菌もまた最終結論ではなく、そこに含まれる化学化合物Xこそがペストを引き起こすことが分かるかもしれません。ウィキペディアの記事を読むと、現実のペスト菌ではF1抗原とV抗原という2つの化学化合物が病を起こすとありますが、P菌にもXを含むものと含まないものがあり、前者のみがペストを引き起こすなら、真の原因はP菌ではなくXです。

さらにXにも数種類の構造があり、ペストを引き起こすのはYという官能基をもつタイプと分かるかもしれません。するとペストの原因探索は、

瘴気→P菌→化合物X→官能基Y

と絞り込んできたことになります。それぞれの段階では「瘴気」なり「P菌」なりが原因という仮説が立てられ、その対象を集中的に調べることで、より深い掘り下げが行なわれたのだから、瘴気原因説もP菌原因説も歴史の中で科学の発展に貢献したことになります。

注意すべきは、1段階の掘り下げに長大な時間を要するかもしれないことです。瘴気原因説からP菌原因説に進むまで数十年も数百年もかかるかもしれず、その間は、瘴気に当たってもペストに罹らない例があることを承知の上で、瘴気原因説を教育の場で伝えてゆくしかありません。

歴史上の極端な例では、アリスタルコスの地動説もデモクリトスの原子論も、証拠も見つからず、検証もされることなく、千年以上も教え伝えられ、ついに近代理論の誕生を幇助する時がきました。


別に基準03や04を否定するのではありませんが、現実の科学史はこのような形で進んできたのだろうと思います。

問題がなければ基準02に話を進めてはいかがでしょうか?


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