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ミツバチの利他的行動@南堂久史

26shinok30:2008/02/10(日) 21:49:01 ID:b2FSV5a.
卵の大きさと卵数のトレードオフの関係はすでに議論されています
まずは,1970年にPiankaが唱えたrーk選択説がそうですね
さらに,伊藤嘉昭は「世代時間」という独立変数を組み込んでしまうrーk選択説の曖昧さを批判し,
"the procurablilyty of food by the young"(子にとってのエサの得やすさ)によって,
多産多死戦略と少産保護戦略のどちらかを選択すると考えました
ようするに,「子にとってエサの得やすい」環境では多産多死戦略が,
逆の場合は少産保護戦略が選択されやすいということです

「少産保護戦略」の内容は,卵が大きいこと(大卵戦略)だったり,卵胎生や胎生だったり,
孵化後(誕生後)の親の保護が発達していたり……様々ですが,
「子にとってエサの得にくい」環境への適応として説明できますね

もちろん,どちらも戦略も結果的に「より多くの子孫を残せたから」こそ進化したわけです
(決して,「質の向上」を目指して進化したわけではありません)
「系統的制約と環境によってどういう選択をするか」という問題はありますが,
「どちらがより進化しているか」という問題ではありませんし,
「細菌 → …… → 魚類 → 両生類 → 爬虫類 → 哺乳類」という「進化の過程」に沿って
『直線的に進化』してきたわけでもありません

例えば,硬骨魚ではエサをめぐる競争のないプランクトン食の海水性の種の卵は小さく,
複雑な環境に棲む流水性の種の卵は大きい傾向があります
また,以前,伊藤の説として紹介しましたが,
ダチョウなどの地上生の鳥やカモなどの水鳥では大きな卵から生まれたヒナが離巣性なのに対して,
樹上や岸壁に営巣する鳥のヒナは巣の外に出ることはなく,
自力でエサを取ることがまったくできないので,親からの給餌に完全に依存しています

>以下,伊藤の『rーk選択説への批判』からの引用
>>海鳥は自分で水面下の獲物を急降下して捕ることができるほど,
>>飛ぶ力がつくまで島で育てられる必要がある.どんなにたくさん
>>の魚が周囲の海にいても,その時までそれは利用できないのだ.
>>森林環境においても,木の上のヒナは飛ぶことができるか,少な
>>くとも枝から枝へ跳びうつることができるようになるまで,エサ
>>を獲得することはできない.木になっている果実の多くは彼らに
>>は利用できないのだ.
ttp://members.jcom.home.ne.jp/natrom/board061031.html
アイアイが晩成で養育期間が原猿類としては長いのも,
立ち木や倒木内に隠れている幼虫や固い種子などの『構造的に防御された』
子にとって得にくいエサを主食にしているからだと説明できますね


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