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トンデモネタに対する突っ込み用情報ソース備忘録

45はやし:2006/08/29(火) 00:35:54 ID:xa9XiOiY
ジャック・モノーは一貫して「偶然」という言葉を否定的な意味ではなく、肯定的な意味で使っています。その意味で彼の論理には確かに破綻がありません。わたしは彼ほどダーヴィニズムの真髄を明確に言い表しえた語り手は他にいないのではないかと思っています。したがって彼の成功はダーヴィニズムの勝利を意味しており、逆に彼の失敗はダーヴィニズムの敗北を意味しているといっても過言ではないでしょう。
ところで彼は自らをカルテジアン(=デカルト主義者)であると表明しております。確かに彼の論理は完全にデカルトが描いた宇宙論の論理そのものなのです。デカルトは「宇宙論」という書物において、一切の物質的世界を「延長」としての物質の幾何学に還元できると考えました。宇宙空間はその物質のエーテルにより満たされ、そのエーテルの衝突によって渦動を起こし、様々な星が生じたというようなことまで述べております。これは後にカントにも影響を与え、いわゆる星雲説の元になり、それは又後にアインシュタインの一般相対性原理にも生かされています。しかしデカルトのその論理が徹底しているのは宇宙論だけでなく、「情念論」という本の中で独自の生物機械論を展開したことです。彼は人間以外の生物をすべて延長としての物質に還元できると考えたました。この発想はまさしく現代の分子生物学に生かされているわけです。
J.モノーの「偶然と必然」の中でおそらくもっとも瞠目すべき箇所は、次の表現にあると思います。
「したがってタンパク質こそは、化学機械の活動を一定の方向に導き、首尾一貫した機能を果たさせ、そしてその機械自身を組み立てるものなのである。これらの合目的的性能は、突き詰めればすべてタンパク質の《立体的特異性》にもとづくのである」同書P53
この表明の中に彼の思いがすべてこめられているとみてよいでしょう。つまり彼はこの箇所でデカルトと同様徹底した幾何学の論理にしたがって生物機械の仕組みを証明しようとしているわけです。
確かに彼はその論理性において破綻がなく徹底しているわけでありますが、実はその論理性こそが彼の最大の弱点なのだということに気づきます。ダーヴィニズムに対して反対する世の学者たちはいわゆる反還元論者と言われる人たちが多いのをご存知でしょうか?わたしは彼等の本を何冊も読みました。代表的な学者で言うとベルタランフィーやケストラー、最近ではカウフマンらの自己組織理論名等もその系統にはいります。反還元論というのはつまり、生物を個々バラバラにした物質の原理に置き換えることはできないという主張です。わたしはこの主張には大きな意味があると思っているものですが、残念ながら必ずしも彼等の反還元主義の主張が真に説得力のあるものとなったとはいえません。では一体、J.モノーの論理には何が不足しているのかということをいろいろ考えてみますと、結局一つの重大な欠陥をみつけるにいたりました。それは「時間」という概念です。モノーの論理は確かに幾何学的な論理で一貫しているわけですが、そこに欠落しているのは「時間」の概念なのです。
ところで「時間」とはいったい何でしょうか?ここでわたし自身の考えを言う前にみなさんに先に聞きたいと思います。一体「時間」とは何でしょうか?


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