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「労働法の知識だけでは役に立たない」ブラック企業対策プロジェクト事務局長に聞く
弁護士ドットコム2014年11月29日(土)10:51
●仮に「知識」があっても「空気」に邪魔される
――「労働上の権利を学校で学びたかった」という人々の意識について、どう思いますか?
労働法の知識を学校教育の中で伝えていくことは、もちろん重要なことだと思います。特にブラック企業の被害者である若年労働者へのこういったアンケートは、とても意味のあるものだと思います。
しかし、高校生や中学生に対して、単に具体的な労働法の「条文」知識を詰め込むだけであれば、抽象的な知識は忘れてしまいますし、根本的な効果が薄いように感じます。
「条文」知識があったとしても、労働現場で活用できるかどうかは別の問題です。残業代について知識があったとしても、「権利を主張するメンタリティ」がなければ、実際には役に立ちません。ブラック企業の被害者は、会社に非があっても自分を責めてしまい、権利を主張するところまでたどり着きません。
――「権利を主張するメンタリティ」とはどういうことでしょうか。
日本においては、ドイツやイギリスなどに比べて裁判所で解決される労使紛争は圧倒的に少ないのですが、だからといって、日本の労使関係が円満というわけではありません。労働者が一方的に泣き寝入りしているだけの状況がほとんどです。
たとえ知識を知っていても、自分を責めてしまったり、自分の権利を主張したいと思っても周りからは「変なことをしている、偏った人」だというレッテルを貼られてしまうことをおそれたりする場合が多いのだと思います。残念ながら。
このような世間の空気を敏感に感じる人は、自分の労働問題について理不尽さを感じても権利主張をする気持ちにならず、知識を得ようと調べてみたり、相談に行こうと思ったりする段階まで、たどり着きません。
――特に、いま働いている会社で、残業代請求などの権利の主張を真正面からすると、職場に居づらくなるというのが現実ですよね。
たしかに、そういった実態は否定できません。周りと違って自分だけが権利主張することがよしとされない風潮もありますしね。
正直に申し上げて、いま職場で働いている人や、これからも働き続けようと思っている人に対して「労働基準法はこうなっているから、未払いの残業代を堂々と会社に請求すればいい」と、単に法的なアドバイスするだけでは、実際の権利行使には結びつき辛いだろうと思います。
空気を読まず、一人でも権利主張できる人はごく一部の方です。権利行使した後の会社との関係や周囲の目を気にすると、法的な知識をもっていても実際にその権利を行使できる人は少ないのです。
ですから、労働法の法律論だけをアドバイスしても、現実に働く労働者が、会社に対して権利行使するようにはならないでしょう。
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