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格差 inequality, disparity
3
:
名無しさん
:2008/03/21(金) 02:27:31
日本テレビアニメの創始者 手塚先生のお言葉
「しかしね、ぼく個人が我慢ならんのはね、こういう声があるんだよ。
手塚があのアトムを売る時、べらぼうな安値で決めてしまったから、
現在までテレビアニメの製作費が安くて苦労するんだと。
冗談じゃないよ。そんな世間知らずなことを言う奴らはバカだよ。
あの時、ぼくのテレビアニメが売れたからこそ、いまのテレビアニメの
隆盛を見たんで君達もそれで生活してるんじゃないかとね。そして、
あの時点で製作費はあれが常識なんで、あの倍もふっかけようもんなら、
まちがってもスポンサーはアトムを買わなかったね。そうしたら、
テレビアニメ時代なんて夢物語だっただろうね。」
『手塚治虫エッセイ集2』より
________________________
実は高かった手塚アニメの制作費
「おい、アトムは売値が25万らしいぞ」
「え、そんなに安いんですか」
1962年の冬、手塚治さんの邸宅で、若いアニメターがそんな会話を交わした。
驚いた方は、アニメ監督の山本映一さん。手塚邸には製作会社・虫プロが同居し
山本さんは当時、作画スタッフの1人だった。
「250万じゃなかったんですか」
そう尋ねると、先輩は眉間にしわを寄せ、うーんと唸った。
『鉄腕アトム』は虫プロの第1号テレビ作品。75万はその1話の値段だ。
この頃、20人が半年をかけて、ようやく2話分を仕上げたばかり。
その値段ではとても給料をまかなえるとは思えない。
しかし、スタジオに現れた手塚さんはよゆうしゃくしゃく。
パイプをふかせながら「その安さなら、他の会社は手を出せないでしょ」と言った。
大御所は破格の安さでテレビ局に卸すことで、市場の独占を狙ったのだった。
だが、制作費との差額は大きく、当然、赤字が出る。
その分は、画家の部でトップクラスの高額納税者だった手塚さんが私費で賄ったようだ。
業界では今、アニメーターの低賃金、過重労働が話題になると、このエピソードが誰の口からともなく語られる。
「手塚先生が安売りしたのが悪いんだ。それが尾を引いている。」
ところが、山本さんによると、事情はちょっと違う。その後、アトムは回を重ねるたびに値段がアップ。
約3年後の日本発のフルカラー作品『ジャングル大帝』第1話は250万で売れた。
大御所はすぐに間違いに気づいたという。
アトムがデビューして間もなく、『狼少年ケン』など沢山のアニメ放送が始まり、独占の思惑は木っ端微塵に。
手塚さんは自伝「ぼくはマンガ家」で、「ぼくの大失敗だった」と振り返っている。
業界の人件費がなかなか上がらないのは、製作会社の急増による競争激化が主な理由と考えられている。
天国の手塚さんが知ったら、どう言うだろうか。
誤解させちゃって、ごめんね―――。
「ははは」と、ふくよかな笑い声が聞こえてきそうだ。
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