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関数論スレ

1Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/06/08(金) 01:29:13
複素関数論のスレッドも立てときましょう。

一応、

岸正倫,藤本坦孝,複素関数論,学術図書出版,1980

を読んでいくつもりです.

2Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/06/08(金) 01:30:18
複素関数論
岸正倫,藤本坦孝
一章 複素関数
一節 複素数と複素平面
複素数

複素数とは実数x,yを用いてz=x+iyと書かれる数である.
iは虚数単位と呼ばれ,i^2=-1を満たす.
xをzの実数部分,yをzの虚数部分といい,
それぞれRe(z),Im(z)で表す.
x+iyはx+yiとも書く.

3Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/06/08(金) 01:30:44
実数全体の集合をR,複素数全体の集合をCと書く.即ち,
          C:={x+iy;x∈R∧y∈R∧i^2=-1}.
複素数z_1=x_1+iy_1とz_2=x_2+iy_2が相等しいとはx_1=x_2∧y_1=y_2であることをいう.
C上の演算が次によって定められる.z_1=x_1+iy_1∈C,z_2=x_2+iy_2∈Cに対して,
          加法:z_1+z_2:=(x_1+x_2)+i(y_1+y_2).
          減法:z_1-z_2:=(x_1-x_2)+i(y_1-y_2).
          乗法:z_1z_2:=(x_1x_2-y_1y_2)+i(x_1y_2+x_2y_1).
          除法:x_2^2+y_2^2≠0のとき,
          z_1/z_2:=(x_1x_2+y_1y_2)/((x_2)^2+(y_2)^2)+i((-x_1y_2+x_2y_1)/(x_2^2+y_2^2)).
実数xと複素数x+i0を同一視する.Im(z)=0なる複素数zを実数とするということになる.
この同一視によりR⊂C.
Re(z)=0なる複素数zを純虚数という.

4Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/06/08(金) 01:31:04
上の演算でy_1=y_2=0であるとすると,加法減法乗法除法はそれぞれ,
          z_1+z_2=x_1+x_2,
          z_1-z_2=x_1-x_2,
          z_1z_2=x_1x_2,
          z_1/z_2=x_1/x_2
となりR上の演算はそのままC上の演算となる.
C上の乗法はz_1,z_2をiの一次式と見て展開し,i^2を-1に置き換えたものである.
z=x+iyに対してz~=x-iyをzの共役複素数という.次が成り立つ.
          zz~=x^2+y^2∈R.

5Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/06/08(金) 01:31:27
これから次が分かる.
z=x+iyに対して
          z≠0⇔x≠0∨y≠0⇔zz~≠0.
z_1=x_1+iy_1,z_2=x_2+iy_2に対して
z_2≠0であるとすると
          z_1/z_2=z_1(z_2)~/z_2(z_2)~=z_1(1/z_2).
実際,
          z_1/z_2
          =(x_1x_2+y_1y_2)/(x_2^2+y_2^2)+i((-x_1y_2+x_2y_1)/(x_2^2+y_2^2)),
          z_1(z_2)~/z_2(z_2)~=((x_1x_2+y_1y_2)+i(-x_1y_2+x_2y_1))/(x_2^2+y_2^2),
          z_1(1/z_2)=(x_1+iy_1)(x_2/(x_2^2+y_2^2)+i(-y_2/(x_2^2+y_2^2)))
          =(x_1(x_2/(x_2^2+y_2^2))-y_1(-y_2/(x_2^2+y_2^2))
          +i(x_1(-y_2/(x_2^2+y_2^2))+y_1(x_2/(x_2^2+y_2^2))).

6Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/06/08(金) 01:31:58
加法について交換の法則,結合の法則が成り立つ.また,z+z_2=z_1を満たすzが一意的に存在する.
実際,z=x+iy,z_l=x_l+iy_l,l=1,2,3とすると,実数の加法について交換の法則が成り立つことより,
          z_1+z_2=(x_1+x_2)+i(y_1+y_2)
          =(x_2+x_1)+i(y_2+y_1)
          =z_2+z_1.

7Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/06/08(金) 01:32:18
実数の加法に結合の法則が成り立つことより
          (z_1+z_2)+z_3
          =((x_1+x_2)+i(y_1+y_2))+(x_3+iy_3)
          =((x_1+x_2)+x_3)+i((y_1+y_2)+y_3)
          =(x_1+(x_2+x_3))+i(y_1+(y_2+y_3))
          =(x_1+iy_1)+((x_2+x_3)+i(y_2+y_3))
          =z_1+(z_2+z_3).

8Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/06/08(金) 01:32:37
また,
          (z_1-z_2)+z_2
          =((x_1-x_2)+i(y_1-y_2))+(x_2+iy_2)
          =x_1+iy_2
よりz_1-z_2はz+z_2=z_1を満たすzの一つである.
          z+z_2=z_1
であるとすると,
          z=z+z_2-z_2=z_1-z_2.

9Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/06/08(金) 01:33:09
乗法の交換の法則,結合の法則,分配の法則,z_2≠0のときz_2z=z_1を満たすzは{z_1/z_2}に限る.
実際,z=x+iy,z_l=x_l+iy_l,l=1,2,3とすると,
          z_1z_2
          =(x_1x_2-y_1y_2)+i(x_1y_2+x_2y_1)
          =(x_2x_1-y_2y_1)+i(y_2x_1+y_1x_2)
          =z_2z_1,
          (z_1z_2)z_3
          =((x_1x_2-y_1y_2)+i(x_1y_2+x_2y_1))(x_3+iy_3)
          =((x_1x_2-y_1y_2)x_3-(x_1y_2+x_2y_1)y_3)+i((x_1x_2-y_1y_2)y_3+(x_1y_2+x_2y_1)x_3)
          =(x_1(x_2x_3-y_2y_3)-y_1(y_2x_3+x_2y_3))+i(y_1(x_2x_3-y_2y_3)+x_1(y_2x_3+x_2y_3))
          =(x_1+iy_1)((x_2x_3-y_2y_3)+i(y_2x_3+x_2y_3))
          =z_1(z_2z_3),

10Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/06/08(金) 01:33:30
          z_1(z_2+z_3)
          =(x_1+iy_1)((x_2+x_3)+i(y_2+y_3))
          =(x_1(x_2+x_3)-y_1(y_2+y_3))+i(x_1(y_2+y_3)+y_1(x_2+x_3))
          =(x_1x_2-y_1y_2)+i(x_1y_2+y_1x_2)+(x_1x_3-y_1y_3)+i(x_1y_3+y_1x_3)
          =z_1z_2+z_1z_3,
          z_2(z_1/z_2)
          =(x_2+iy_2)(((x_1x_2+y_1y_2)/(x_2^2+y_2^2))+i((-x_1y_2+x_2y_1)/(x_2^2+y_2^2)))
          =(x_2((x_1x_2+y_1y_2)/(x_2^2+y_2^2))-y_2((-x_1y_2+x_2y_1)/(x_2^2+y_2^2)))
          +i(x_2((-x_1y_2+x_2y_1)/(x_2^2+y_2^2))+y_2((x_1x_2+y_1y_2)/(x_2^2+y_2^2)))
          =x_1+iy_1=z_1,

11Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/06/08(金) 01:33:51
z_2z=z_1ならば
          z=zz_2(1/z_2)=z_2z(1/z_2)=z_1(1/z_2)=z_1/z_2.

12Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/06/08(金) 01:34:17
問.次の計算をせよ.
1. 2i(1+i)
2. (1+i)/2i
3. ((-1+√3i)/2)^3
4. i^n, (n=±1,±2,…)

1. 2i(1+i)=-2+2i.
2. (1+i)/2i=(1+i)(-2i)/4=(1/2)-i(1/2).
3. ((-1+√3i)/2)^3=(-(1/2))^3+3(-(1/2))^2(√3i/2)+3(-(1/2))(√3i/2)^2+(√3i/2)^3=1.
4. kを整数としてi^(4k-3)=i,i^(4k-2)=-1,i^(4k-1)=-i,i^(4k)=1.

13Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/06/08(金) 01:34:49
共役複素数に対して次が成り立つ.
          Re(z)=(1/2)(z+z~),
          Im(z)=(1/2i)(z-z~)
          (z_1±z_2)~=(z_1)~±(z_2)~, (複合同順}),
          (z_1z_2)~=(z_1)~(z_2)~,
          (z_1/z_2)~=(z_1)~/(z_2)~

14Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/06/08(金) 01:35:12
実際,z=x+iy,z_l=x_l+iy_l,l=1,2とすると,
          (1/2)(z+z~)=(1/2)(2x)=x=Re(z),
          (1/2i)(z-z~)=(1/2i)(2iy)=y=Im(z),
          (z_1±z_2)~=((x_1±x_2)+i(y_1±y_2))~
          =(x_1±x_2)-i(y_1± y_2)
          =(x_1-iy_1)±(x_2-iy_2)
          =(z_1)~±(z_2)~,
          z_1z_2
          =((x_1x_2-y_1y_2)+i(x_1y_2+y_1x_2))~
          =(x_1x_2-y_1y_2)-i(x_1y_2+y_1x_2)
          =(z_1)~(z_2)~,
          (z_1/z_2)~
          =(((x_1x_2+y_1y_2)/(x_2^2+y_2^2))+i((-x_1y_2+x_2y_1)/(x_2^2+y_2^2)))~
          =((x_1x_2+y_1y_2)/(x_2^2+y_2^2))-i((-x_1y_2+x_2y_1)/(x_2^2+y_2^2))
          =(z_1)~/(z_2)~.

15Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/07/10(火) 02:17:22
複素平面
複素数z=x+iyを平面R^2上の点(x,y)に対応させると,
Cの各点とR^2の各点は1対1に対応する.
この対応によってx+iyと(x,y)を同一視する.
この同一視によったとき平面上の点は複素数を表し,複素数は平面上の点で表される.
この平面を複素平面,Gauss平面といい,この平面のx軸を実軸,y軸を虚軸という.
平面上の点(x,y)を極座標(r,θ)で表すと,
x=rcosθ,y=rsinθだから複素数z=x+iyは
          z=r(cosθ+isinθ).
と表される.この表し方を複素数zの極形式とか極表示という.

16Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/07/10(火) 02:17:41
r=√(x^2+y^2)=√(z~(z))をzの絶対値といい,|z|で表す.即ち
          |z|=√(x^2+y^2) (z=x+iy),|z|^2=z~(z).
θをz≠0の偏角といい,arg zと書く.
偏角はzに対して一意に決まらない.
θがzの偏角ならばθ+2nπ, (n=0,±1,±2,cdots)もzの偏角である.
偏角は逆正接関数で表される.
          arg z=arctan(y/x), (z=x+iy).

17Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/07/10(火) 02:17:53
問 次の複素数の極形式を求めよ.
1. -1+√3i
2. (√3)i
3. (√3)(1-i)
4. -√3
解答
1. -1+√(3)i=2(cos(2π/3)+isin(2π/3)).
2. (√3)i=√3(cos(π/2)+isin(π/2).
3. (√3)(1-i)=(√6)(cos(7π/4)+isin(7π/4)).
4. -√3=(√3)(cosπ+isinπ).

18Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/07/10(火) 02:18:13
複素数の演算を複素平面上に図示することができる.
ベクトル(x_1,y_1),(x_2,y_2)の和が(x_1+x_2,y_1+y_2)だから,
z_1=x_1+iy_1とz_2=x_2+iy_2の和z_1+z_2は線分Oz_1,Oz_2で決まる平行四辺形の第4の頂点である.
またz_1-z_2=z_1+(-z_2)は線分Oz_1,O(-z_2)で決まる平行四辺形の第4の頂点である.
このことから次の三角不等式が分かる.
          |z_1+z_2|≦|z_1|+|z_2|.
これから次の不等式が分かる.
          ||z_1|-|z_2||≦|z_1+z_2|≦|z_1|+|z_2|
証明
|z_1|=|z_2+(z_1-z_2)|≦|z_2|+|z_1-z_2|,
|z_2|=|z_1+(z_2-z_1)|≦|z_1|+|z_2-z_1|=|z_1|+|z_1-z_2|
より
||z_1|-|z_2||≦|z_1+z_2|.■

19Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/07/10(火) 02:24:36
>>18より次が分かる.
          |Re(z)|≦|z|≦|Re(z)|+|Im(z)|,
          |Im(z)|≦|z|≦|Re(z)|+|Im(z)|.
証明
まず
|z_1z_2|=√((z_1z_2)~(z_1z_2))=√((z_1~(z_1))(z_2~(z_2)))
=√(|z_1|^2|z_2|^2)=√(|z_1|^2)√(|z_2|^2)=|z_1||z_2|,
|z|=√(z~(z))=√(~(~(z))~(z))=√(~(z)~(~(z)))=|~(z)|.
よって
|Re(z)|=|(1/2)(z+~(z))|=|(1/2)||z+~(z)|≦(1/2)(|z|+|~(z)|)=(1/2)(|z|+|z|)=|z|,
|Im(z)|=|(1/(2i))(z-~(z))|=|-(1/2)i(z-~(z))|=|-(1/2)i||z-~(z)|
=|-(1/2)||i|(|z|+|-~(z)|)=(1/2)・1・(|z|+|-1||~(z)|)=(1/2)(|z|+|z|)=|z|,
|z|=|Re(z)+iIm(z)|≦|Re(z)|+|iIm(z)|=|Re(z)|+|i||Im(z)|=|Re(z)|+|Im(z)|.■

20Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/07/10(火) 02:25:39
例題 |z-a|<ρ,(ρ>0)をみたすzの集合を図示せよ.

解答
|z-a|はzとaの距離であるから,
{z;|z-a|<ρ}は中心a,半径ρの開円板である.

21Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/07/10(火) 02:28:40
          z_k=r_k(cosθ_k+isinθ_k), (k=1,2)
とすると,
          z_1z_2=r_1r_2(cos(θ_1+θ_2)+isin(θ_1+θ_2))
          z_1z_2^(-1)=r_1r_2^(-1)(cos(θ_1-θ_2)+isin(θ_1-θ_2)), (ただしz_2≠0)

          ∠(z_1)(O)(1)=∠(z_1z_2)(O)(z_2),
          |z_1|:1=|z_1z_2|:|z_2|
より
△(z_1)(O)(1)と△(z_1z_2)(O)(z_2)は相似である.
同様に△(z_1)(O)(1)と△(z_1z_2^(-1))(O)(z_2^(-1))も相似である.

22Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/07/10(火) 02:30:50
>>21で,絶対値と偏角を比べれば,
          |z_1z_2|=|z_1||z_2|,
          |z_1z_2^(-1)|=|z_1||z_2|^(-1), (ただしz_2≠0),
          arg(z_1z_2)≡arg z_1+arg z_2, (mod 2π),
          arg z_1z_2^(-1)≡arg z_1-arg z_2, (mod 2π), (ただしz_2≠0).
>>21を何度も使うと,次のde Moivreの公式が得られる.
          (r(cosθ+is∈θ))^n=r^n(cos nθ+is∈ nθ), (n∈N).

23Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/07/10(火) 02:34:03
          (r(cosθ+is∈θ))^0=1,
          r^0(cos0+is∈0)=1
より>>22はn=0で成り立つ.
          (r(cosθ+is∈θ))^(-1)=r^(-1)(cosθ-is∈θ)=r^(-1)(cos(-θ)+is∈(-θ))
より>>22はn=-1で成り立つ.
n∈Nに対して
          (r(cosθ+is∈θ))^(-n)=r^(-n)(cos(-θ)+is∈(-θ))^n=r^(-n)(cos(-nθ)+is∈(-nθ))
より>>22はn∈Zで成り立つ.

24Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/07/10(火) 02:34:17
例題
n∈Nとするときz^n=a, (a≠0)を解け.
解答
z=r(cosθ+is∈θ),a=R(cosΘ+is∈Θ)とおくと
>>22より
r^n(cos nθ+is∈ nθ)=R(cosΘ+is∈Θ).
よって
z=R^(1/n)(cos((Θ+2kπ)/n)+is∈((Θ+2kπ)/n)),(k=0,1,2,…,n-1)


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