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昨日深夜図書館の近くで、、、

996名無しの阪大生:2024/03/25(月) 19:41:00
どこまでもムタ
5つ星のうち5.0 財政政策中心のポリシーミックスが続き政府の役割が問われる
2023年4月15日に日本でレビュー済み
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平均寿命が長くなると貯蓄が増加して金利が低下し、実効下限値に張り付く。しかも、この状況は暫く続く。インフレで金利が上がる現状も、ブランシャールに言わせれば一時的なものだ。これは正にケインズの言う流動性の罠の状況であり、21世紀型の長期停滞でもある。

もっとも、この低金利は財政政策のチャンスにもなる。財政支出とその乗数効果でデフレギャップを埋め、緩やかなインフレ状態をつくり、豊かな社会を築く。ここまでは標準的なケインズ経済学だ。ここでブランシャールは、実質安全金利rと実質経済成長率gについてr-g<0(r<g)の関係を導く。この前提が本書の論考の全てでもある。

r-g<0の含意は、財政政策を債務コストなしに実施できること。この前提に立つと、赤字支出で債務が膨らむ以上に経済成長するから、国家財政は破綻しない。ただし、過度な財政支出は現在のアメリカのようなインフレを引き起こしてしまう。ブランシャールは、適度な経済成長をもたらす価値ある投資としてグリーン投資等を推奨する。

ここで、当面は続く低金利を活用して財政支出し、経済成長に寄与する公共投資を持続させるとしよう。すると、中立金利も上昇するから、財政支出は金利を緩やかに持ち上げ、金融政策の余地もつくり出す。ただし、金利が経済成長率を超えて債務の持続性を脅かすことがないように。このあたりに、金利と赤字支出、債務の関係を巡る絶妙な舵取りが求められる。だから、政府と政治に求められる役割は重大だ。

意外にも、ブランシャールは、日本のこの間の経済政策を評価し、財政支出も「ちょうどいい」と述べる。民間需要が低迷して構造改革も進まなかったが、大幅な財政赤字と実効下限制約での金融政策で「潜在生産水準近くに維持させた」と。確かに低金利を維持し、僅かにでも経済成長でき、債務は膨れあがっても維持できている。しかし、実質的にr-g>0だったが故に、ここまで債務が膨らんでしまったのではとも思えてくる。

ブランシャールは現在のインフレ後に長期停滞の再来を予測する。先進国の人口動態からすれば納得できる。だから、財政政策中心のポリシーミックスが続く。それは政府の役割が問われるということでもある。


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