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コーポレートファイナンス 初歩の初歩

1帝王学の基本は闘争本能:2004/05/19(水) 22:58
[コーポレート・ファイナンス]

1 資本コスト

・負債コスト(the cost of debt)
  Kd(1-t)
 ただし、Kd:借入金利
     t :法人税率
・負債コストの節税効果
  → 税務上、損金算入されることによる債権者及び投資家への分配増大効果のこと
・株主資本コスト
  → 投資家たる株主の要求収益率のこと
 ※利益剰余金(retained earnings)のコストは、株主資本コストである。
・株主の要求収益率を推定する
  → CAPMによるアプローチ
  → DDMによるアプローチ
・CAPM(資本資産評価)
  Ks=Krf+β(Km−Krf)
 ※某書ではKrfに10年物長期国債のリターンを利用すると記載されているが、個人的には、テキストの指摘するとおり、短期国債(米国ならT-bill)を利用すべきであると考える。
  その理由は、CAPMで利用されるβは、あくまでhistrical-βであるため、その安定性という意味で短期的なレンジでしか活用できない(というか、不安定)。したがって、他のパラメータに長期的なレンジでの利子率を適用することが妥当であるとは考え難いと解釈したためである。
 ※CAPMの示唆するところは明確である。しかしながら、Kmの推定が事実上不可能である以上、一定の範囲での標本による推定によりKmを推定するしかないだろう。もっとも、その場合には当該標本により推定したKmの妥当性を検証する必要が生じることになろう。
・DDM(配当割引モデル)
  Ks=(D1/P0)+g
 ※いうまでもなく、右辺の第1項がincome gain分であり、第2項がcapital gain分である。
 ※g:サスティナブル成長率
・サスティナブル成長率
  g=ROE*r=ROE*(1-p)
 ただし、r:retention rate
     p:payout rate
・WACC(Weighted Average Cost of Capital)
  WACC={D/(D E)}*Kd*(1-t)+{E/(E D)}*Ks
    =Wd*Kd*(1-t)+Ws*Ks
  ただし、Wd+Ws=1
 ※WACCの加重比率であるWd及びWsは、あくまで時価基準によるものでなければならない。
  負債の時価評価は、新規借入金利を用いて行う。

2帝王学の基本は闘争本能:2004/05/20(木) 00:10
2 投資プロジェクトの評価方法(Capital Budgeting)

・回収期間法(Payback Period Method)
→ 基本的に回収期間が短い方が望ましいとされる。
    ただし、Cash Flowの時間価値を無視しているため、適正な評価方法とは言い切れない。(でも、実務では良く使用される。)
 ※回収期間法について、テキストでは次のような解説が与えられている。
  The payback period indicates how many years it takes to recover the original investment in the project.
 ※回収期間が短い方が高い評価が与えられる理由は、回収期間そのものがプロジェクトの投下資金回収のリスクであり、投下資金の流動性を意味するものであるため。
 ※回収期間(Payback Period)をPBPと略すことがある。 
・割引回収期間法(Discounted Payback Period Method)
  → 回収期間法に時間価値を導入したもの
    ただし、回収期間終了後のCash Flowを無視している点は何ら改善されていない。
 ※割引回収期間法について、テキストでは次のような解説が与えられている。
  The discounted payback period indicates how many years it takes to recover the original investment stated in present value terms.
・内部収益率法(Internal Rate of Return Method)
NPV=0=−I+ΣCFt/(1+IRR)^t
 ※このIRRを手計算で算出することは困難である。現実には数学的試行錯誤法によって算出することが多いようである。
・正味現在価値法(Net Present Value Method)
  NPV=−I+ΣCFt/(1+k)^t
 ※単独プロジェクトの場合
  NPV>0 ・・・ 投資実行
  NPV=0 ・・・ 投資実行
  NPV<0 ・・・ 投資見送り
 ※個人的には、少なくとも機会コストとの比較や潜在的リスク評価等のフィルターを通してからでないと投資実行の是非を判断することはできないのではないか、と考える。
・Sunk costs
  → It is not a relevant incremental cash flow in analyzing a capital Budjeting Project.
 ※投資プロジェクトの評価を行う際、sunk costs はあくまで事前に費消されたコストであるから、当該コストをプロジェクト評価に組み込むことは妥当ではない。 
 ※Oppotunity costs は、特定のプロジェクトを採用することによって、今回は採用を見送られた他のプロジェクトが生み出したであろう Cash Flow のこと。機会コストは、投資プロジェクト評価の際には、必ず組み込んでおくことが求められるコストである。
 ※その他、考慮すべき事項としては、Externalities や Cannibalizationといった投資プロジェクト実行に伴う既存部門の収益機会の損失(むしろ、食い合いによる収益低下というべきか・・・)がある。
・Sensitivity Analysis
  → In capital budgeting, a risk anaiysis technique in which key variables are changed one at a time and the resulting change in NPV and IRR are observed is called 'sensitivity analysis'.

3(´・ω・`) </b><font color=#FF0000>(D/ULnvDs)</font><b>:2004/05/22(土) 14:59
3.資本構成(1/2)

・資本構成(Capital structure)
  → 株主価値を最大化する資本構成のこと
  → 最適資本構成(Optimal capital structure)

・資本構成に影響を与える要素
 ①ビジネス・リスク(business risk) 
 ②The firm's tax position
 ③資金調達力(financial flexibility)
 ④経営の保守性(conservatism or aggressiveness of management)

・Bussiness risk
  → The uncertainty inherent in a firm's return of assets (ROA)
 ※annualで見た場合、収益変動率が相対的に高い業種あるいは企業は、bussiness riskが高いということになる。
・Operataing leverage (DOL,Degree of Operating Leverage)
  → 要するにbussiness riskを測定するための道具、指標
  → DOL=(S−VC)/(S−VC−FC)
    ただし、S:販売量、VC:変動費、FC:固定費
 ※上記の基本式を変形させると次式のようになる
   DOL=Q(P−V)/{Q(P−V−F)}
  ただし、Q:販売量、P:unit単位での販売価格、V:unit単位での変動費、F:固定費総額 
  なお、Q(P−V)は限界利益を表す。
  [雑感]個人的には、例えば事業部単位、営業店単位での把握をしたいとか、工場単位(むしろこっちか・・・)でのDOLを測定したというようなケースでは、基本式よりもこちらの式の方が使い易いだろうとは思う。
      しかしながら、全社的なレベルでDOLを見たい場合、事業部や工場単位でのDOLを単純に加算して良いのか、判断し難い・・・。
      DOLの式を見る限り、販売規模等でweighted averageさせる必要があるように思う。DOLの加算可能性は単純には同意し難い。
・営業利益(EBIT)は、売上高とDOLの増減に比例する。
  → %ΔEBIT=(DOL)*(%ΔSales)
    したがって、DOL=10のとき、売上高が5%上昇すると、EBITは(なんと!)50%も増加することになる。
 [雑感]これは当然のことであろう。そもそもDOL自体が損益分岐点(BEP)分析そのものなのであるから。
     ここで理解すべきは、企業経営という利潤追求の立場からみて、EBITを増加させるためには、単純に売上高上昇(というよりは、drive to increase market share)のための努力だけでなく、DOLの改善、すなわち、固定費率(fixed charge ratio)の低下を実現させるための『改善』が必要だという、至極当然のことのような気がする。
     別の言い方をすれば、多少の売上高増加のために総力を上げるよりも、DOLの改善を図る努力をした方が効率が良いということかもしれない。
     なぜならば、売上高増加のためには、そのもの顧客に商品や製品を買って頂かなければならない、したがって実現可能性という意味で不確実性が高い案件であるのに対して、DOLの改善は、corporate restructuring の問題ともいえ、実現可能性という意味では売上高増加よりも(はるかに)高いと言えるからである。
・Financial risk
  → The increased risk of bunkrupcy from greater financial leverage
 ※借入比率の増加は、(当該企業が利益を計上している限り、あるいは近い将来に利益を計上できる見込みがある限り、)借入金利の節税効果によってROEを高めることはできるが、その代償として倒産確率も当然に高くなる。
  [補足]ROE=ROA+(ROA−I)*(D/E)
      ただし、I:借入金利、D:(金利支払いが必要な)負債、E:株主資本
・DFL(Degree of financial leverrage)
  → DFL=EBIT/(EBIT−I)
・1株当たり利益は、DFLと営業利益(EBIT)の増減に比例する。
  → %ΔEPS=(DFL)*(%ΔEBIT)
    したがって、DFL=5のとき、営業利益が7%上昇すると、EPSは(なんと!)35%も増加することになる。
・以上から、%ΔEBIT=(DOL)*(%ΔSales)、%ΔEPS=(DFL)*(%ΔEBIT)なのであるから、
  → %ΔEPS=(DFL)*(DOL)*(%ΔSales)
 [雑感]株主価値経営を標榜する株式会社においては、株価に直結するEPSを増加させる(あるいは期待させる)ことは基礎的な命題であるから、これを実現するためには、①売上高の増加、②固定費率の低下、③借入比率の増加を実現させる必要がある。
     しかし、DFLの上昇は、倒産確率を上昇させることになるわけであるから、これを適切に管理できるようにしておかなければならないはずである。
     ここに最適資本構成を求める意義が存在する(・・・と思う)。

4帝王学の基本は闘争本能:2004/05/22(土) 21:28
%ΔEPS=(DFL)*(DOL)*(%ΔSales)

個人的には、この式のおかげで最適資本構成を会社が考えなければならない事項であることが理解できないような気がするでつよ。
もちろん、これだけがその意義であるわけでもなく、もっともっと多様かつ深い意義があるんでしょうけどね・・・

まあ、数値化すると言いまつか、数式化するといいまつか、たった一つの式で意義が表現できるという素晴らしさってありまつよね・・・多分

5帝王学の基本は闘争本能:2004/05/22(土) 23:24
3.資本構成(2/2)

■MM理論(モジリアーニ=ミラー理論)

・第1命題
 → 法人税等が存在しないことを前提とした場合、完全資本市場の下ではWACCは一定となるため、資本構成が企業価値に影響を与えることはない。
 ※ここでいう企業価値とは、株主及び債権者という会社からの分配を受ける権利を有する者が受け取る金額の流列の現在価値である。
 [雑感]
  最適資本構成を考慮する場合、基本となる考え方は株主資本の最大化ではない。株主及び債権者への分配金額の最大化を実現できる資本構成という意味である。
  したがって、会社は株主のものだけではなく、役員及び従業員のものであると言い切る三菱重工のような株式会社では、全く違う最適資本構成ができあがるはずである。会社によって求める企業価値が異なる以上、単純に理論を当てはめることが危険かつ無意味であるいことは当然であろう。
  確かに株式を公開しているわけであるから、public companyとしての役割が重視されることは言うまでもないが、企業が永続すること(going concern)を前提(というか、現実にはこちらの方が究極の目的・・・)とするのであれば、短期売買を目的とする株主の利益まで考慮すべきなのかどうかは議論の分かれるところであろう。
  もとより、株主平等の原則が株式市場の大原則であるわけだから、その点を覆するようなことは許容されない。また、株式の継続所有期間の長短の問題が、会社の最大の命題を「株主価値の最大化」に置くことを否定できるだけの根拠があるようにも(少なくとも理論的には)思えない。なぜなら、長期保有している株主であっても、これを短期保有を連続させていると見なすことが可能であるからである。現金配当を考えた場合であっても、一定の時期(決算期等)に株式を所有しているか否かだけの問題なのであるから、株式の所有期間の長短は、はじめから考慮されていない。
 しかしながら、会社が常に株価というファクターで市場から評価されているという視点から考えた場合、この問題は、上記のような議論に単純化して考えることはできないのではないか。投資家(ここでは株主)の投資行動、特に短期的な投資行動によって株価が変動する以上、株式保有期間の問題を切って捨てる(=検討するだけの意味のあるものではない)ことが、果たして会社としての最適行動といえるのか、現在の私には分からない。
  会社ごとの企業文化というような極めて主観的な要因によって、最適資本構成が変動することはあり得ることと直感的には感じる。もっとも、そのようなことを許容すれば、理論化という一般論への普遍化を放棄することにもなりかねないという問題を内包していることも分かるのだが・・・

6帝王学の基本は闘争本能:2004/05/23(日) 18:37
・第2命題
  → 法人税等が存在しないことを前提とした場合、完全資本市場の下では負債比率の増加に比例して株主コストが増加する。

 ※ここで、WACCから株主資本コスト(Ke)を求めると
   WACC={D/(D E)}*Kd*(1−t)+{E/(D E)}*Ke
  であるから、
   前提よりt=0
  したがって
   WACC={D/(D E)}*Kd+{E/(D E)}*Ke
  これを展開して
   (D+E)*WACC=D*Kd+E*Ke
  左辺と右辺を入れ替えて
   E*Ke=(D+E)*WACC−D*Kd
   Ke ={E*WACC+D(WACC−Kd)}/E
   Ke =WACC+(WACC−Kd)/(D/E)
  ここで
   Ke :株主からの要求収益率 → ROE
   WACC:債務者及び株主からの要求リターンの加重平均値 → ROA
   kd :負債利子率 → i
   D/E:財務レバレッジ(financial leverage)
  であるから、これを書き換えて
   Ke =WACC+(WACC−Kd)/(D/E)
   ROE =ROA +(ROA−i)/(D/E)
  ※株主の立場から解釈すると、借入金の増大は、当該会社の総資産事業利益率(ROA)が負債利子率を超えている限り、ROEの増大をもたらす訳であるから、好ましい財務構成ということになる。
   しかし、一端、会社の収益力が減衰し、ROAが減少し始めると、負のレバレッジ効果によって、ROEは一気に減少し始める。
   これはD/Eという負債比率の増大が、倒産確率の増大を意味していると解釈することができることを意味している。
   株主の立場からすれば、どのような形であれ、負担リスクが増大する以上、(少なくとも理論上は)それに見合った形でのリターンを要求することになるから、会社の立場からすれば、負債比率の増大は株主コストの増加をも意味することになる。
    → 収益変動性の増大(=リスクの増大)という形での株主負担リスクの増大の結果、それに比例して株主コストも増大することになる。
  [参考]leveraged buyout(LBO):買収先企業の資産を担保に資金を借り入れて企業買収を行う方法。
  [雑感]第1命題では、①WACCは一定、②負債コストは一定、ということになっていたが、株主コストだけが増大することを認めるということに関して、奇異な感じを受ける・・・

7帝王学の基本は闘争本能:2004/05/23(日) 18:37
(ちょっとbreak time)

特集:だから、どっちよ!

■MM理論をミラー=モジリアーニ理論とするヒトもいる・・・

・企業価値=株式時価総額+負債(の時価評価金額=基本的に簿価)

・第1命題
 完全市場においては、企業の資本構成は、企業価値に影響しない。
 (企業価値と企業の資本構成との無関連性)

・第2命題
 完全市場においては、企業の配当政策は株価に影響をおよぼさない。
 (配当と株価との無関連性)

 ※この第2命題がテキストの記述と異なっている。。。
  どうするよ、これ・・・ってかんじなのでつ。

・批判
 第1命題に対しては、倒産可能性についての議論を加味していないではないか。

 → 今日のように多くの企業経営者が、倒産回避のため、資金繰り困窮の状況にはとりわけ敏感で、有利子負債の削減に熱心であるが、これは企業価値を低くしているのかという疑問である。
   倒産を考慮した場合は、倒産にかかわる裁判費用、暖簾代の減価、消失などにより、企業価値を下げる要因が発生するが、これらは明らかに倒産コストとして別途考慮する必要が生ずる。

   [参考]
   神戸大学の砂川助教授は、負債の水準が非常に高く、フィナンシャル.デストレスの状態にある企業の企業価値は、デイストレス.コストの分だけ、企業価値が減少するとしたうえで、このデイストレス.コストの削減によって
企業価値と負債価値を同時に高めることができると論じている。(証券アナリストジャーナル:2002年12月号)

 第2命題については、『株式価値=配当落ち株価+配当と考えれば、両者の違いは株式投資から獲得する報酬の形態(配当所得か、資本利潤か)の相違に過ぎない。』との考え方に対して、より現実の問題として、投資家が将来の資本利潤よりも、現在の現金収所得を選考することは、
市場においてはよくあり得ることである。
 例えば、最近の我が国の投資信託の市場においても、分配型の投信がとりわけ好まれる傾向にあることも、その一例であろう。

・注意すべきこと
 多くのfinance研究の中核をなす理論が、実は多くの仮定のうえに成り立っていることに注意が必要である。

 ※MM理論の前提となっている仮定

  ①経営者は、発行済株式の価値を最大化するように行動する。
  ②完全市場(=取引コスト、税金、情報の非対称等が存在しない市場)である。
  ③利子率は、企業の負債利子率と投資家の借株(の品貸料)は同一である。
  ④投資家は、富の増加形態(現金増加、所有資産の価値増加)については無差別である。

8帝王学の基本は闘争本能:2004/05/23(日) 21:59
・修正第1命題
  → 法人税等が存在する場合、負債を導入すると負債利子の節税効果により企業価値が増大する。
  → ∴ この命題の下では、最適資本構成は負債100%となる。

・負債トレードオフ理論(The trade-off theory of leverage)
  → 負債の増大により、節税効果も比例して増大するものの、倒産リスクも増大する。
    言い替えれば、節税効果による企業価値の増大と倒産リスクの増大による企業価値の減少の合計値が最大になるような資産構成が最適資産構成ということになる。
 [雑感]ということは、負債(独立変数)の増加による企業価値(従属変数)の増減をグラフで表すとすると、原点から凸の2次関数になるのではないか。だとすれば、所詮は事後的な測定であろうが、当該関数の極大点を探れば良いということになるのか・・・

・テキストでは、The trade-off theory of leverage について、次のように解説している。
  → According to trade-off theory,companies would be expected to have a value-maximaizing debt level where the marginal benefits of a tax shield equal the marginal bankruptcy-related costs.
    更に・・・
     In a world with taxes and bunkrutcycosts, companies would be expected to have an optimal capital structure where the cost of capital is minimized and share price is maxmized.

9帝王学の基本は闘争本能:2004/05/23(日) 22:00
■ある人の調査・・・
 MM命題の成立を保証するような市場の完全性の仮定を緩め、累進的な法人税や倒産費用、外部資金調達にかかるプレミアム、あるいは株主・債権者間のエージェンシー問題等を考慮した場合には、企業経営者はリスクを管理することにより株主利益に貢献(企業価値を増加)することができる。
 近年の実証分析例をみると、これらの仮説は概ね支持されている。
 しかし、企業経営者に拡張嗜好があるときには、株主利益を毀損してしまう可能性があることも指摘されている。

・・・なるほど・・・

10帝王学の基本は闘争本能:2004/05/24(月) 00:48
4.配当政策

・会社からの配当に対する株主の嗜好について
  → 会社の株主が一様でないことに着目すれば、株主の配当請求の多様化を無視して配当政策を一律に定めることは、少なくとも合理的な行動とは呼べないであろう。
・配当無関係説(The dividend irrelevance theory)
  → モジリアーニとミラーは、配当政策は株価に影響を与えないとした。
    (理由)
     ① 配当が株主が当面必要とする金額を超えているのであれば、配当の一部で当該会社の株式を買い増せば良い。
     ② 上記①とは逆に配当が少なければ、株主は、所有する株式の一部を市場で売却して現金を得れば良い。
     すなわち、会社が如何なる配当政策を取ろうとも、株価には影響を及ぼすことはないのである。
 ※この理論の根底にある考え方を homemade dividends という。
 ※テキストの説明は以下のとおり。
Dividends irrelevance theory states that dividend policy has no effect on either the company's value or its cost of capital.
 [雑感]この考え方を素直に受け入れることはできない。少なくとも配当割引モデル(DDM)の考え方を否定しかねないからだ。
    もっとも、この考え方は、会社経営政策上の多角化への有力な批判(→ そもそも株主は、自己の資産を複数の会社に分散投資を行い、自己が望むポートフォリオを構成することができるわけであるから、個々の株式公開会社が経営の多角化(=中核業務とは無関係な業種への進出)は無意味であるばかりか、当該会社の所有者である株主の利益を損なうおそれすらある。したがって、会社はコア・コンピタンスに経営資源を集中させるべきである。という考え方)に通じているところがあると思われる。
    (この考え方そのものを受け入れることはできないが、)この意味で、この考え方の有効性は受け入れざるを得ないであろう、と思う。

11帝王学の基本は闘争本能:2004/05/24(月) 00:48
・「掌中の鳥」説(The bird-in-the-hand theory)
  → ゴードンとリントナーは、株主の要求収益率(Ks)に着目して、次式のうち、右辺の第1項である配当利回りこそが重要であると説いた。
    なぜなら、株主は、(予測が立ち難いという意味で)比較的不安定な利益成長率よりも、比較的安定している配当成長率を好むからである。
     Ks=D1/P0+g
    ただし、D1:来期の予想現金配当額、P0:現在(期初)の株価、g:サスティナブル成長率
 ※テキストの説明は以下のとおり。
  Bird-in-the-hand theory states that a company will maximaize its value by setting a high dividend payout ratio.
 [雑感]正直にいえば、株主を危険回避者であると前提を置いたために出てきた考え方のようにも思える。
    もとより、このような考え方を否定するつもりはないが、配当にのみ着目するという考え方には・・・いささか奇異なイメージを持つ。
    長期保有の場合なら、むしろ、成長率の方が重要になるようにも思えるのだが・・・
・節税選好説(The tax preferance theory)
  → 投資家が低い配当性向を好むのは、次のような税金面での問題があるためであるとする。
    ① キャピタルゲイン課税の方が配当課税よりも税率が低い。
    ② 株主の意思でキャピタルゲインを実現するまで(すなわち、株式を売却するまで)は課税されない。
      したがって、配当せずに内部留保された金額は、会社の内部金融として処理され、株主からすれば、会社が一定の成長を維持しているのであれば、事実上、課税時期の繰り延べという利益を享受することができる。
    ③ 株式を保有したまま株主個人が死亡した場合、相続時には非課税で課税ベーシス(相続税法上の簿価)を引き上げる効果を持ち、課税対象額を引き下げる効果を得ることができる。  
 ※テキストの説明は以下のとおり。
The tax preference theory states that investors prefer stocks that pay low dividends to stocks that pay high dividends.
 [雑感]もとより、これら①〜③の株主の利益は米国におけるものであり、わが国の税法に単純に当てはめることはできない。

12帝王学の基本は闘争本能:2004/05/24(月) 00:48
・配当シグナル効果説(The information content or signaling hypothesis)
  → 増配を公表した会社の株価は比較的上昇し易い。
    これは、投資家が当該会社の「配当政策」が変化したとは考えないで、「期待収益」が変化したと考える。すなわち、収益性の向上を期待しているのである。
    情報の非対称性の問題から、会社のことを一番分かっているはずの経営者が増配を公表した以上、会社が市場に対して将来の収益について楽観的な見通しを持っているというシグナルを送っているとみなされるわけである。
・顧客効果(Clientele effect)
  → 前述したモジリアーニ=ミラーの考え方をやや敷衍したものと言えようか。
    ① 累進課税制度を前提とする社会では、高い税率を課されている富裕層の個人投資家の場合、相対的に税金の高い配当による分配よりも、相対的に税率の低いキャピタルゲインによる収益実現を好む。
    ② 一般事業法人の場合、受取配当金に関しては、益金不参入の制度があるため、現金配当での収益実現を志向するので、高い配当性向を好む。
    ③ 年金基金の場合、そもそも配当課税が行われない(非課税)なのであるから、上記②と同様の投資行動をとる。
    すなわち、株主となる投資家層の選好が異なるのである。
    このことは、投資家は、自分の選好と合致する会社をあらかじめ選択して投資していることになる。
    だとすれば、個々の会社は配当性向を変化させても株価を変化させることはできないはずである。なぜならば、当該企業の変化した後の配当性向を好まない投資家から、好む投資家へと株主層が変化するだけだからである。
    よって、個々の会社での配当政策は、株価に影響を与えることはない。
・残余配当モデル(The residual dividend model)
  → 省略。
・自己株買い
  → 日本でも会社による自己株式の購入が認められた(しかも金庫株まで)が、この自己株式を購入することによって、株価が変化することがある。
    そもそも、自己株式の購入は、一定範囲で認められた自己資本を元手に市場から自己株式を購入するわけであるから、資本構成として、現金(=資産)を自己株式(=資本)に置き換えただけであり、少なくとも企業価値の変化をもたらすようなものではないはずである。
    では、何故、自社株買いに株価は反応するのか。その理由として考えられているものとしては、次のようなものが挙げられる。
    ① 情報の非対称性から、経営者による市場へのポジティブなシグナルであると受け止められるから(シグナル効果)
    ② 自社株買いに応じるのか否かの選択権は、あくまで株主が保持するから
    ③ 浮動株を減少させることができるので、株価の下支え効果が期待できるから
    ④ 資本構成を大きく変化させることができるから
    もっとも、これに対しては次のような問題点も指摘されている。
    ① 株主は、収益実現の方法(配当か、売却益か)について無関心ではないので、かならずしも自己株買いを歓迎するとは限らない。
    ② 会社が市場での株価を大きく超えて自己株買いを行った場合、これに応じた株主と応じなかった株主の間で不平等が生じる結果となる。


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