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GPL関係 その1
:2004/01/02(金) 22:33
■GPLは契約として成り立つか---日本法との整合性を検証する
オープンソースライセンスとして広く利用されているGPL(General Public License)は、日本の法律上、契約に当たるのだろうか。それともプログラム製作者が一方的に著作権を行使しないと宣言しただけの話なのだろうか。東京平河法律事務所の小倉秀夫氏は12月5日、オープンソースに関するカンファレンス「Open Source Way 2003」において、この問題について解説した。
GPLは、リチャード・ストールマン氏が1980年代に考案したライセンス供与条件で、全ての人にソースコードの修正、配布を認めたもの。ただし、修正版を配布する際には修正内容を公開することが条件となっている。現在はLinuxカーネルをはじめ、多くのオープンソースプロジェクトに採用されている。
小倉氏によると、GPLは契約なのか、プログラム製作者が自分の著作権を行使しないという宣言(これを不行使宣言という)なのかによって、いくつかの点で法律を適用する際に違いがでてくるという。具体的には派生物(derivative work)の範囲を超えた関連作品の扱いや、ソースコードの引き渡し義務の有無、GPLが定める無保証条項の効力といった点で、違いが生まれるという。
GPLは契約として成立しうるか
東京平河法律事務所の小倉秀夫氏
小倉氏はまず、GPLが契約として成立しうるのかという点について検証した。GPL第5条では、「プログラムの改変や配布を行った場合、GPLを受け入れたことを意味する」という条項がある。しかし、契約というのは通常、利用者が契約書にサインするといった承諾行為があって成立するとされている。
小倉氏はこの点について、民法526条の条項から契約として成り立つだろうと語る。526条には、承諾の意思表示と認められる事実があれば契約が成立するという項目がある。つまり、契約によって得られる権利を実行した人は承諾の意思を示したと考えられるのだ。したがってプログラムの改変や配布を行った人は承諾の意志を示したと判断でき、GPLは契約と見てよいと考えられるという。
GPLの「無保証」は法律上有効か
小倉氏はGPLが掲げる無保証条項について、GPLが契約と判断された場合と、不行使宣言である場合の違いについて紹介した。GPL第11条には、「このプログラムは無償でライセンスされるため、適用法の範囲内でプログラムに関する保証はない」と記載されている。これが免責条項として成立するのか、という問題だ。
GPLがもし不行使宣言にすぎないとしたら、これは著作権者の一方的な宣言であり、利用者に損害賠償権を行使するなと言うことはできない。一方、GPLが契約であれば、利用者がプログラムを変更、翻案、配布した際に契約が成立したと考えられる。したがって、免責に関しても合意がなされたものと判断されるという。
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