福沢諭吉は平等主義者?彼は武士階級に生まれ育ち、身分制度のただ中で生きた人間だ。それが特権階級で生まれた日本人の思想的限界がある。彼は秀才であるがアメリカ人のベンジャミン・フランクリンのような時を超えた天才ではない。だれも彼が平等主義者だなんて思う人間はおるまい。「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」-これはとてもアメリカ的考え方、アメリカ憲法の至るとことにみられるコンセプトだ。だからといってアメリカ人が人間平等を文字どうりに欲しているか。働くもの食うべからずである。私的所有権を認めていることからも共産主義的平等観はない。「人生は不公平(life is unfair, get used to it!)」という言葉で象徴されるように、人生の不公平を承知している。教育の大切さも知っている。だからこそ、アメリカでは教育に力を入れている。そのため、アメリカの大学が世界の大学ランキングで他国の追随を許さないほど数多くがランキングしている。初等・中等・そして特に優秀な大学教育がアメリカの民主主義を支えているといってよいのである。
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「愚民の上に苛き政府あれば、良民の上には良き政府あるの理なり」(福沢諭吉『学問のすゝめ』)