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941凡人:2017/02/16(木) 10:01:44 ID:0ZaqCPPs0
本心をオープンに

中村慶 Nakamura Kei: TV ディレクター。長野県出身。高崎市立高崎経済大学卒。フジテレビの『世界行ってみたらホントはこんなトコだった !?』、テレビ東京「世界!ニッポン行きたい人グランプリ」など数多くの海外情報ドキュメンタリー番組を手がけ,世界各地を訪問。

世界25の国や地域......。
ここ3年で地球のさまざまな場所を飛び回って取材した数です。その膨大な取材時間の中で私が外国人とのコミュニケーションにおいて重要だと感じたこと――それは本心を隠さないということです。

アンデス山脈の5,000m付近に暮らすペルー人の家族を取材した時のことです。夫婦に子ども2人の構成でしたが,寒い上に平地の半分ぐらいの酸素量という厳しい環境にもかかわらず,ストローハットを身につけ,自給自足の暮らしをする伝統的な一家でした。そこで,お母さんが私たち日本の客人に料理を振舞いたいと言ってくれました。

ご厚意に感謝しながら待つこと1時間,「さあ,どうぞ」と言って出してくれたものに私は絶句しました。それは,現地ではクイと呼ばれるモルモットの丸焼きでした。山岳民族にとって,クイは昔から重要なタンパク源でとても高価なものです。正直一切口に合いませんでしたが,精一杯のおもてなしを無下にしたくないという気持ちからか,私は笑顔を見せ,「おいしい!」と言って食べていました。

しかし,食事中お母さんの表情はだんだん曇っていきました。会話をしようとしても,彼女からの返答は一切ありません。完全に無視の状態です。結局取材の最終日までその状態が続きました。一体どうしたのか? 理由もわからず,私は少し嫌な気持ちになりながら次の取材先へと向かいました。

次に訪れたのは,アマゾンの奥地「イキトス」という街でした。こちらは,アンデス山脈とは打って変わって,気温35度を越す熱帯雨林に囲まれた場所でした。そこで市場に赴き,再び地元の人の手料理を頂く機会がありました。「さあ,新鮮なうちにどうぞ〜!」元気がよい女将さんが持ってきてくれた料理に,私はまたしても絶句しました。それは「猿のスープ」でした。アマゾンでは猿は普通に食べられており,市場にも平然と並んでいます。肉を煮てスープにする事が多いといいます。「とっても柔らかく煮たからおいしいよ〜!」

自信満々の女将を前に私は何とか食べようと努力しました。しかし,これはさすがに無理でした。私は正直に「すみません,これは口に合いません」と伝えました。怒られるかなと思った瞬間,彼女は笑顔で「それは仕方ないね! あんたは外国人なんだから。正直に気持ちを伝えてくれてありがとう!」と予想外の返事をもらいました。

私はそこでハッとなりました。アンデスのお母さんがなぜ怒っていたのか,ようやく理解できたのです。私たち日本人は相手を傷つけまいと,本心を言わないことが多々あります。しかし,多くの外国人は本音を教えてくれないことをもっとも嫌います。「友人なのになぜ本音を言わないんだ!」「おいしいと嘘をついて食べていた方が余計悲しい。」それがあの時アンデスのお母さんが感じていたことだと思っています。以来、私は外国人と接する時には包み隠さず自分の意見を言うように心がけています。

もちろん英語力は大事です。しかし、英語での会話能力を超えたコミュニケーション力を培うために必要なことは,いかに本音を相手に伝えるかが鍵である,と信じています。

http://tb.sanseido.co.jp/english/newcrown/pdf/ten032/TEN32_01.pdf
http://tb.sanseido.co.jp/english/newcrown/pdf/ten032/TEN32_all.pdf




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